普段からあまり動じることのない若葉は、同じ年頃の子供たちが集まっている教室に導かれ、教室に入ったと同時に騒々しさがぴたりと止み、脚を止めた。
「大丈夫だからね。先生がみんなに事情を話すから、若葉ちゃんは何も言わなくていいよ」
「…はい」
若葉は気付いていなかったが、同じ年頃の女の子供たちよりも若葉は可愛らしく、清楚に見える。
表情はややきついが、物心ついた時から息吹にあれこれ作法を仕込まれていたこともあってか、ひとつひとつの動作は洗練されていて、男の子たちは若葉に見惚れていた。
「知ってる子もいると思うけど、主さまの元で暮らしていた若葉さんです。若葉さんは私たちと同じ人だし、分け隔てなく仲良くしてあげて下さいね」
「はーい!」
「じゃあ若葉ちゃん、簡単でいいから挨拶をしようね」
教師に促されて教壇の前に立った若葉は、ぺこりと頭を下げた後、教室内を見渡した。
皆が一挙手一投足に注目していたが、動じることなくはきはきとした口調で話し始めた。
「若葉です。今は白狐のぎんちゃんと一緒に暮らしてます。寺子屋に通うのははじめてだから…色々教えて下さい。よろしくお願いします」
短かかったが、若葉が主さまの関係者であることを知った同級生たちは一瞬まごつきこそすれど、可愛らしい若葉と仲良くなりたくて大きな返事を返して若葉を取り囲んだ。
…人と接している――主さまの屋敷で唯一人なのは息吹だけなので、とても新鮮な気分になった若葉は、皆から質問攻めされたり寺子屋内を案内してもらったり忙しく過ごし、すぐに友達も沢山できた。
最初はぎこちない笑顔しか作ることができなかったが、校庭で追いかけっこをしている間に大きな声や笑顔が弾けるようになり、あっという間に夕方になった。
「若葉ちゃん明日も来るでしょ?また沢山遊ぼうね!」
「うん。あ、朔ちゃんだ」
門の前には朔が立っていて、若葉が窓から身を乗り出して大きく手を振ると、朔も小さく振り返してくれた。
また朔は百鬼相手には餓鬼大将だが、普段は落ち着きがあり、将来主さまのように落ち着きのある男になりそうな予感がぷんぷんしている。
皆に手を振って朔に駆け寄った若葉の表情が輝いていることが嬉しくもあり、複雑な気分になった朔は、若葉と手を繋ぎながら寺子屋で過ごした1日を訊ねた。
「楽しかった?みんなと仲良くなれた?」
「うんっ。明日もね、みんなと追いかけっこするの」
「…ふうん。じゃあ俺ともしようよ」
対抗意識を燃やして握った手に力を込めると、若葉も握り返してくれた。
「大丈夫だからね。先生がみんなに事情を話すから、若葉ちゃんは何も言わなくていいよ」
「…はい」
若葉は気付いていなかったが、同じ年頃の女の子供たちよりも若葉は可愛らしく、清楚に見える。
表情はややきついが、物心ついた時から息吹にあれこれ作法を仕込まれていたこともあってか、ひとつひとつの動作は洗練されていて、男の子たちは若葉に見惚れていた。
「知ってる子もいると思うけど、主さまの元で暮らしていた若葉さんです。若葉さんは私たちと同じ人だし、分け隔てなく仲良くしてあげて下さいね」
「はーい!」
「じゃあ若葉ちゃん、簡単でいいから挨拶をしようね」
教師に促されて教壇の前に立った若葉は、ぺこりと頭を下げた後、教室内を見渡した。
皆が一挙手一投足に注目していたが、動じることなくはきはきとした口調で話し始めた。
「若葉です。今は白狐のぎんちゃんと一緒に暮らしてます。寺子屋に通うのははじめてだから…色々教えて下さい。よろしくお願いします」
短かかったが、若葉が主さまの関係者であることを知った同級生たちは一瞬まごつきこそすれど、可愛らしい若葉と仲良くなりたくて大きな返事を返して若葉を取り囲んだ。
…人と接している――主さまの屋敷で唯一人なのは息吹だけなので、とても新鮮な気分になった若葉は、皆から質問攻めされたり寺子屋内を案内してもらったり忙しく過ごし、すぐに友達も沢山できた。
最初はぎこちない笑顔しか作ることができなかったが、校庭で追いかけっこをしている間に大きな声や笑顔が弾けるようになり、あっという間に夕方になった。
「若葉ちゃん明日も来るでしょ?また沢山遊ぼうね!」
「うん。あ、朔ちゃんだ」
門の前には朔が立っていて、若葉が窓から身を乗り出して大きく手を振ると、朔も小さく振り返してくれた。
また朔は百鬼相手には餓鬼大将だが、普段は落ち着きがあり、将来主さまのように落ち着きのある男になりそうな予感がぷんぷんしている。
皆に手を振って朔に駆け寄った若葉の表情が輝いていることが嬉しくもあり、複雑な気分になった朔は、若葉と手を繋ぎながら寺子屋で過ごした1日を訊ねた。
「楽しかった?みんなと仲良くなれた?」
「うんっ。明日もね、みんなと追いかけっこするの」
「…ふうん。じゃあ俺ともしようよ」
対抗意識を燃やして握った手に力を込めると、若葉も握り返してくれた。

