息吹はともかく、滅多に町に姿を現さない主さまが、朔や若葉を伴って町を歩く――
その姿はあっという間に注目を集め、得意満面な顔で息吹と手を繋いでいる長男の朔が次代の百鬼夜行を率いる男であることと、その朔と手を繋いでいる若葉の存在は、息吹の時と同様に誰もが知っている。
幽玄橋に捨てられて、息吹と同じように主さまのもとで育った若葉。
ただ違うのは、若葉を養っているのが真っ白な白狐であることと、若葉の表情が少ないこと。
皆は遠巻きから主さまたちを見ていたが、若葉の性格を熟知している朔は、返ってくる返事が少ないことも厭わずにずっと若葉に話しかけていた。
「寺子屋は人しか通えないから俺は一緒に勉学を学べないんだ。その代り毎日迎えに行くから」
「でも朔ちゃんだって忙しいんでしょ?私ひとりでも…」
「ぎんがほっつき歩いてお前の傍に居ないから、俺が代わりになってやる」
主さまばりにふいっと顔を逸らしてそう言いながらも、少し頬の赤い朔を見て頬が緩んだ息吹は、寺子屋の前に着いて若葉の肩を抱いた。
門の前で待っているうちに、騒々しいことに気が付いた教師が飛び出て来ると、主さまの前で立ち止まり、深々と頭を下げた。
「あ、あなたは主さま…!うちに何かご用でも…」
「この子を通わせたい。うちの事情を理解した上で、普通に接してやってほしい。駄目なら諦める」
「い、い、いえいえ、喜んでお引き受けいたします!よろしければ朔様も…」
「え、俺?どうしよう…お父様…お母様…」
朔が瞳を輝かせたが、主さまは首を振ってそんな期待を否定すると、若葉の背中をやんわり押して教師の前に連れ出した。
「人の子と接するべきだ。お前が一緒に通うと、それができなくなる。早速今日から頼む」
「じゃあ若葉ちゃん、中へ行こうか」
一瞬若葉が不安げな表情を息吹を見上げたが、息吹がにこっと笑うと安心したのか朔の手を離して教師と手を繋ぎ、教室の方へと歩いて行く。
常に若葉と遊んできていた朔の方が逆に寂しそうにして、若葉の背中をずっと見守っていたが、主さまが朔の肩に手を置くとすぐにぱっと顔が輝き、親子3人で寺子屋を後にする。
「朔、何か買ってやろうか」
「本当ですかっ?じゃあ…若葉が帰ってきた時に一緒に食べるお菓子を」
息吹が吹き出し、主さまが笑う。
こうして3人で歩く機会が滅多にない朔は、目一杯はしゃぎながら両親を手を繋いで町を闊歩した。
その姿はあっという間に注目を集め、得意満面な顔で息吹と手を繋いでいる長男の朔が次代の百鬼夜行を率いる男であることと、その朔と手を繋いでいる若葉の存在は、息吹の時と同様に誰もが知っている。
幽玄橋に捨てられて、息吹と同じように主さまのもとで育った若葉。
ただ違うのは、若葉を養っているのが真っ白な白狐であることと、若葉の表情が少ないこと。
皆は遠巻きから主さまたちを見ていたが、若葉の性格を熟知している朔は、返ってくる返事が少ないことも厭わずにずっと若葉に話しかけていた。
「寺子屋は人しか通えないから俺は一緒に勉学を学べないんだ。その代り毎日迎えに行くから」
「でも朔ちゃんだって忙しいんでしょ?私ひとりでも…」
「ぎんがほっつき歩いてお前の傍に居ないから、俺が代わりになってやる」
主さまばりにふいっと顔を逸らしてそう言いながらも、少し頬の赤い朔を見て頬が緩んだ息吹は、寺子屋の前に着いて若葉の肩を抱いた。
門の前で待っているうちに、騒々しいことに気が付いた教師が飛び出て来ると、主さまの前で立ち止まり、深々と頭を下げた。
「あ、あなたは主さま…!うちに何かご用でも…」
「この子を通わせたい。うちの事情を理解した上で、普通に接してやってほしい。駄目なら諦める」
「い、い、いえいえ、喜んでお引き受けいたします!よろしければ朔様も…」
「え、俺?どうしよう…お父様…お母様…」
朔が瞳を輝かせたが、主さまは首を振ってそんな期待を否定すると、若葉の背中をやんわり押して教師の前に連れ出した。
「人の子と接するべきだ。お前が一緒に通うと、それができなくなる。早速今日から頼む」
「じゃあ若葉ちゃん、中へ行こうか」
一瞬若葉が不安げな表情を息吹を見上げたが、息吹がにこっと笑うと安心したのか朔の手を離して教師と手を繋ぎ、教室の方へと歩いて行く。
常に若葉と遊んできていた朔の方が逆に寂しそうにして、若葉の背中をずっと見守っていたが、主さまが朔の肩に手を置くとすぐにぱっと顔が輝き、親子3人で寺子屋を後にする。
「朔、何か買ってやろうか」
「本当ですかっ?じゃあ…若葉が帰ってきた時に一緒に食べるお菓子を」
息吹が吹き出し、主さまが笑う。
こうして3人で歩く機会が滅多にない朔は、目一杯はしゃぎながら両親を手を繋いで町を闊歩した。

