翌朝、寺子屋へ行くのを許されたことを息吹に話した若葉は、銀の膝の上でにこにこしていた。
「銀さん、いいの?寺子屋は毎日通うものだし、銀さんと接する時間が減っちゃうかも」
「いや、若葉は人だし必要だろう?お前みたいに教養をつけておいた方がいいと思う」
縁側で話をしていた息吹は、庭の花に水を遣ってくれている雪男に笑いかけて手を伸ばし、若葉の頭を撫でた。
「若葉は雪ちゃんに字の練習やそろばんを教えてもらってるからきっと大丈夫。お茶の作法やお着物の着方とかは私が教えてあげられるし、銀さんは心配しなくても大丈夫だよ」
「別に心配はしていない。…おいお前、嬉しそうだな。毎日1人で通えるか?」
「うん、慣れるまで朔ちゃんが送り迎えしてくれるんだって。だから大丈夫」
庭を走り回って弟や妹の遊び相手になってやっていた朔を銀が睨むと、朔は偉そうな態度で銀の前に立ち、ふんぞり返った。
「お前が居なくても大丈夫だ。俺がちゃんと送り迎えしてやる」
「それが心配だと言っているんだ。朔…若葉に手を出したらお前をこっぴどくいじめてやるからな。覚悟しろ」
大人げない態度で耳を倒して朔を牽制する銀が可愛らしくて息吹がくすくす笑っていると、主さまの部屋から当の主がのそりと出て来た。
「今から寺子屋へ行くのか」
「うん。ちょっと不安だけど…みんなと仲良くなれたらいいな」
少しだけ若葉が不安そうな表情を浮かべると、主さまは草履を履いてどこかへ出かける仕草を見せたので、息吹が首を傾げた。
まだ朝っぱらだし、先程百鬼夜行から帰ってきたばかりだし、日中主さまが出歩くことは滅多にない。
「主さま…どこかに行くの?」
「初日だし、俺もついて行く。うちの事情を話しておけないといけないだろう」
主さまは幽玄町を総べている妖。
本来なら恐れられている存在だが、人の息吹を妻に迎えたことで、幽玄町に住む人々は主さまに対して好意的な態度を見せるようになっていた。
主さまとしてはどうでもいいことだが、息吹はそれを喜び、町へ出かけると人気者になって帰ってくることが遅い。
「え?主さまも一緒について来てくれるの?」
「ああ、今日だけだぞ」
「お父様と一緒に町を歩けるんですか?わあ、嬉しいな!」
若葉と朔が手を繋ぎ合ってきゃっきゃと喜び、銀は仏頂面になる。
「…やっぱり許すんじゃなかった」
銀の独り言を聴いた息吹がくすりと笑った。
「銀さん、いいの?寺子屋は毎日通うものだし、銀さんと接する時間が減っちゃうかも」
「いや、若葉は人だし必要だろう?お前みたいに教養をつけておいた方がいいと思う」
縁側で話をしていた息吹は、庭の花に水を遣ってくれている雪男に笑いかけて手を伸ばし、若葉の頭を撫でた。
「若葉は雪ちゃんに字の練習やそろばんを教えてもらってるからきっと大丈夫。お茶の作法やお着物の着方とかは私が教えてあげられるし、銀さんは心配しなくても大丈夫だよ」
「別に心配はしていない。…おいお前、嬉しそうだな。毎日1人で通えるか?」
「うん、慣れるまで朔ちゃんが送り迎えしてくれるんだって。だから大丈夫」
庭を走り回って弟や妹の遊び相手になってやっていた朔を銀が睨むと、朔は偉そうな態度で銀の前に立ち、ふんぞり返った。
「お前が居なくても大丈夫だ。俺がちゃんと送り迎えしてやる」
「それが心配だと言っているんだ。朔…若葉に手を出したらお前をこっぴどくいじめてやるからな。覚悟しろ」
大人げない態度で耳を倒して朔を牽制する銀が可愛らしくて息吹がくすくす笑っていると、主さまの部屋から当の主がのそりと出て来た。
「今から寺子屋へ行くのか」
「うん。ちょっと不安だけど…みんなと仲良くなれたらいいな」
少しだけ若葉が不安そうな表情を浮かべると、主さまは草履を履いてどこかへ出かける仕草を見せたので、息吹が首を傾げた。
まだ朝っぱらだし、先程百鬼夜行から帰ってきたばかりだし、日中主さまが出歩くことは滅多にない。
「主さま…どこかに行くの?」
「初日だし、俺もついて行く。うちの事情を話しておけないといけないだろう」
主さまは幽玄町を総べている妖。
本来なら恐れられている存在だが、人の息吹を妻に迎えたことで、幽玄町に住む人々は主さまに対して好意的な態度を見せるようになっていた。
主さまとしてはどうでもいいことだが、息吹はそれを喜び、町へ出かけると人気者になって帰ってくることが遅い。
「え?主さまも一緒について来てくれるの?」
「ああ、今日だけだぞ」
「お父様と一緒に町を歩けるんですか?わあ、嬉しいな!」
若葉と朔が手を繋ぎ合ってきゃっきゃと喜び、銀は仏頂面になる。
「…やっぱり許すんじゃなかった」
銀の独り言を聴いた息吹がくすりと笑った。

