それからというものの、いつもの日常が始まった。
銀が留守にする時は主さまの屋敷へ行き、息吹たちが声をかけるまで庭に立っている。
息吹たちもそれを見越していて、若葉が来るとすぐに屋敷の中へ引っ張り込んで一緒に遊ぶ。
いつか若葉を寺子屋に連れて行ってやろうと思っていた息吹は、赤子を抱っこしてあやしてやりながら、隣に座っていた雪男に相談をした。
「若葉を寺子屋に連れて行って人のお友達を作ってあげたいんだけど…雪ちゃんどう思う?」
「若葉を?すでに妖たちと暮らすのが当たり前になってるしなあ…お前はどうだった?」
「私?私は別に人のお友達を望んだことなんてなかったかな。猫ちゃんたちが遊んでくれたから」
足元に転がって喉を鳴らしている虎柄の猫又に笑いかけた息吹は、隣の部屋できゃっきゃと声を上げて遊んでいる子供たちと若葉に目を遣って息をついた。
「朔ちゃんはまだ小さいから若葉をお嫁さんに…とか早いし、朔ちゃんの意思もあるし。銀さんは若葉を放置しているようで執着してるし。…ふふっ」
急に息吹が笑ったので、雪男が真っ青な瞳で息吹の顔を覗き込むと、息吹はぺろっと舌を出して雪男をからかった。
「最初若葉は“雪ちゃんのお嫁さんになる”って言って銀さんに怒られたんだよ。雪ちゃんがかっこよくて優しいから、赤ちゃんを生んで銀さんを喜ばせたいって思ったみたい」
「はあ?俺は子作り道具かよ!第一俺は心通う好き合った相手じゃないと夫婦にはなれねんだ。…ま、お前と主さまがさっさと別れて俺を好いてくれれば手っ取り早いんだけどさ」
「も、もうっ、なに言ってるの!?雪ちゃん火傷しちゃうから手を離してっ」
「やだね」
こうしていちゃいちゃまがいなことをしていると、必ず主さまが起きてくる。
現に主さまと息吹の共同の部屋からものすごい殺気が噴き出したので、そそくさと席を立った雪男は息吹の真似をしてぺろっと舌を出すと、子供たちが遊んでいる部屋へ消えて行った。
そして部屋からのそりと主さまが出てくると、息吹は赤子の額に生えている小さな小さな角を撫でながら笑った。
「雪ちゃん殺しちゃ駄目だからね」
「…あいつはいつになればお前を諦めるんだ?」
「大丈夫だよ、私は主さま一筋だから」
かあっと耳を赤くした主さまがどすんと隣に座り、ため息をつく。
「銀はどうしている?また女のところか」
「知らない。銀さんは優しいけど、若葉を放っておいて女の人と遊んでいるのはちょっと嫌なの。やっぱり若葉にはうちの子になってもらおうかな」
あながち冗談ではない表情でそう言った息吹と小さく笑い合った主さまは、腰を上げて子供たちの元へ向かった。
銀が留守にする時は主さまの屋敷へ行き、息吹たちが声をかけるまで庭に立っている。
息吹たちもそれを見越していて、若葉が来るとすぐに屋敷の中へ引っ張り込んで一緒に遊ぶ。
いつか若葉を寺子屋に連れて行ってやろうと思っていた息吹は、赤子を抱っこしてあやしてやりながら、隣に座っていた雪男に相談をした。
「若葉を寺子屋に連れて行って人のお友達を作ってあげたいんだけど…雪ちゃんどう思う?」
「若葉を?すでに妖たちと暮らすのが当たり前になってるしなあ…お前はどうだった?」
「私?私は別に人のお友達を望んだことなんてなかったかな。猫ちゃんたちが遊んでくれたから」
足元に転がって喉を鳴らしている虎柄の猫又に笑いかけた息吹は、隣の部屋できゃっきゃと声を上げて遊んでいる子供たちと若葉に目を遣って息をついた。
「朔ちゃんはまだ小さいから若葉をお嫁さんに…とか早いし、朔ちゃんの意思もあるし。銀さんは若葉を放置しているようで執着してるし。…ふふっ」
急に息吹が笑ったので、雪男が真っ青な瞳で息吹の顔を覗き込むと、息吹はぺろっと舌を出して雪男をからかった。
「最初若葉は“雪ちゃんのお嫁さんになる”って言って銀さんに怒られたんだよ。雪ちゃんがかっこよくて優しいから、赤ちゃんを生んで銀さんを喜ばせたいって思ったみたい」
「はあ?俺は子作り道具かよ!第一俺は心通う好き合った相手じゃないと夫婦にはなれねんだ。…ま、お前と主さまがさっさと別れて俺を好いてくれれば手っ取り早いんだけどさ」
「も、もうっ、なに言ってるの!?雪ちゃん火傷しちゃうから手を離してっ」
「やだね」
こうしていちゃいちゃまがいなことをしていると、必ず主さまが起きてくる。
現に主さまと息吹の共同の部屋からものすごい殺気が噴き出したので、そそくさと席を立った雪男は息吹の真似をしてぺろっと舌を出すと、子供たちが遊んでいる部屋へ消えて行った。
そして部屋からのそりと主さまが出てくると、息吹は赤子の額に生えている小さな小さな角を撫でながら笑った。
「雪ちゃん殺しちゃ駄目だからね」
「…あいつはいつになればお前を諦めるんだ?」
「大丈夫だよ、私は主さま一筋だから」
かあっと耳を赤くした主さまがどすんと隣に座り、ため息をつく。
「銀はどうしている?また女のところか」
「知らない。銀さんは優しいけど、若葉を放っておいて女の人と遊んでいるのはちょっと嫌なの。やっぱり若葉にはうちの子になってもらおうかな」
あながち冗談ではない表情でそう言った息吹と小さく笑い合った主さまは、腰を上げて子供たちの元へ向かった。

