産気づいた息吹に動揺した若葉がおたおたしているうちに、山姫と式神たちが盥に湯を張ったり手拭いを用意したりしてあっという間に準備を整えた。
「お、お姉ちゃん…」
「若葉…こっちに来て…もうすぐ、生まれてくるからね…っ」
冷や汗をかいている息吹の足元には山姫が座り、主さまと銀と若葉は息吹の枕元に集合して世紀の瞬間を待つ。
時々声を漏らして痛みに耐える息吹の苦しそうな表情に、つい怯えた若葉が声もなく息吹を見つめていると、銀が若葉を膝に乗せて頭を撫でた。
「お前もこうして生まれてきたんだぞ」
「ほ、ほんと?でもぎんちゃん私が生まれてきた時を知らないでしょ?みんな知らないでしょ?私…捨て子だもん」
皆がはっとなったが、息吹が若葉に震える手を伸ばして小さな手を握りしめると、痛みに耐えながらもにこりと笑った。
「若葉…私もおんなじだよ…。私も、捨て子だったけど、みんながこうして見守ってくれて、優しくしてくれる…。捨て子だなんて思わないで…みんな若葉のこと、大好きなんだから…っ」
「お姉ちゃん…お姉ちゃん、頑張ってっ」
息吹の左手を若葉が握り、右手を主さまが握り、時折息吹が悲鳴のような声を上げたが、若葉は現実から逃げないように目を見開いて息吹を励まし続けた。
銀はこの小さな女の子の言葉が気になって息吹どころではなく、長い尻尾をぎゅっと握りしめてくる若葉の頭をひたすら撫でて、ひたすら触り続けた。
「ぎんちゃんべたべたしないで。お姉ちゃん苦しそう…まだ生まれないのかな…」
「そんなにすぐには生まれてこない。それよりお前…捨て子とか言うなよ。俺が父代わりだろう?母親が欲しいか?」
「欲しくない。私にとっての母様は…お姉ちゃんだもん」
「若葉…ありがとう…。ん…、あぁ…っ!」
「息吹、頭が見えてきたよ!もうすぐだ、力んで!」
息吹が渾身の力を込めて力み、握った手が握り潰されるのではないかという強さで握られて真っ赤になったが、若葉は手を離さなかった。
主さまも小さな声で息吹を励まし続けて数分後――
「ぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあっ!」
「う、生まれた…!お姉ちゃん、赤ちゃんが生まれてきたよ!」
「うん…うん…生まれてきたね…。若葉…抱っこしてあげて…」
山姫が取り上げたのは、それは可愛い女の子で、最初に息吹の腕に抱かれた後、主さまは赤子を抱かずに若葉の肩を押した。
「…抱いてやってくれ」
「えっ?う、うん」
真っ赤な赤子は元気よく泣き続け、恐る恐る赤子を受け取った若葉は感動で言葉が詰まり、瞳を潤ませた。
銀は、そんな若葉をじっと見つめてしきりに頭を撫でた。
「お、お姉ちゃん…」
「若葉…こっちに来て…もうすぐ、生まれてくるからね…っ」
冷や汗をかいている息吹の足元には山姫が座り、主さまと銀と若葉は息吹の枕元に集合して世紀の瞬間を待つ。
時々声を漏らして痛みに耐える息吹の苦しそうな表情に、つい怯えた若葉が声もなく息吹を見つめていると、銀が若葉を膝に乗せて頭を撫でた。
「お前もこうして生まれてきたんだぞ」
「ほ、ほんと?でもぎんちゃん私が生まれてきた時を知らないでしょ?みんな知らないでしょ?私…捨て子だもん」
皆がはっとなったが、息吹が若葉に震える手を伸ばして小さな手を握りしめると、痛みに耐えながらもにこりと笑った。
「若葉…私もおんなじだよ…。私も、捨て子だったけど、みんながこうして見守ってくれて、優しくしてくれる…。捨て子だなんて思わないで…みんな若葉のこと、大好きなんだから…っ」
「お姉ちゃん…お姉ちゃん、頑張ってっ」
息吹の左手を若葉が握り、右手を主さまが握り、時折息吹が悲鳴のような声を上げたが、若葉は現実から逃げないように目を見開いて息吹を励まし続けた。
銀はこの小さな女の子の言葉が気になって息吹どころではなく、長い尻尾をぎゅっと握りしめてくる若葉の頭をひたすら撫でて、ひたすら触り続けた。
「ぎんちゃんべたべたしないで。お姉ちゃん苦しそう…まだ生まれないのかな…」
「そんなにすぐには生まれてこない。それよりお前…捨て子とか言うなよ。俺が父代わりだろう?母親が欲しいか?」
「欲しくない。私にとっての母様は…お姉ちゃんだもん」
「若葉…ありがとう…。ん…、あぁ…っ!」
「息吹、頭が見えてきたよ!もうすぐだ、力んで!」
息吹が渾身の力を込めて力み、握った手が握り潰されるのではないかという強さで握られて真っ赤になったが、若葉は手を離さなかった。
主さまも小さな声で息吹を励まし続けて数分後――
「ぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあっ!」
「う、生まれた…!お姉ちゃん、赤ちゃんが生まれてきたよ!」
「うん…うん…生まれてきたね…。若葉…抱っこしてあげて…」
山姫が取り上げたのは、それは可愛い女の子で、最初に息吹の腕に抱かれた後、主さまは赤子を抱かずに若葉の肩を押した。
「…抱いてやってくれ」
「えっ?う、うん」
真っ赤な赤子は元気よく泣き続け、恐る恐る赤子を受け取った若葉は感動で言葉が詰まり、瞳を潤ませた。
銀は、そんな若葉をじっと見つめてしきりに頭を撫でた。

