鬼族は揃いも揃って酒豪揃いだ。
朧はまだ酒を覚えたてで弱く、本人もあまり酒が好きではないらしく、大宴会となって盛り上がる中しらふで上座にちょこんと正座して羽目を外す兄姉たちを楽しそうに見ていた。
特に雪男への皆の囃子っぷりが凄まじく、もう明日にはここを発つ兄姉たちが別れを惜しむあまりに羽目を外しているのが分かる。
「朧、ご苦労だったね」
「兄様、輝夜兄様」
長兄と次兄が輪から抜け出て朧の前に座ると、酒ではなく甘い果実を絞った果汁入りの飲み物を手渡した。
「なんだか気疲れしました。兄様たちもご協力ありがとうございました」
今日のためにやや伸びていた髪をすっきり切った朔は、熱心に見つめてくる白兎や氷麗に気付いていないふりをしながら首を振った。
「妹の晴れの舞台だからね。輝夜も明日発つことになった。今のうちに沢山話すといいよ」
朧は黙って微笑んでいる輝夜を目をまん丸にして見つめて袖を強く握った。
「そんな…輝夜兄様…」
「私は行かなければ。今生の別れではないのだから、また会えますよ。お前の未来は見えています」
礼装ながらやはり若干緩んでいる胸元を朔が正してやった後席を立ち、ふたりきりになった朧は目を潤ませて頭を下げた。
「私の声を聞いて下さってありがとうございます」
「心の悲鳴というものは本当に悲痛で胸が張り裂けそうになります。お前のもそうでした。よくここまで耐えましたね。偉い偉い」
輝夜に頭を撫でてもらうと、堪えていた涙が一気に溢れて止まらなくなった。
両親に今まで育ててもらった礼を述べた時ですらなんとか堪え切ることができた涙は一向に止まらず、慌てた雪男が駆け寄って袖で涙を拭ってやった。
「輝夜兄様…またすぐ会いに来てくれますか?」
「そうですねえ、お前たちに子ができた時は必ず」
「それより輝兄は大切な方を作るべきよ」
「私の兄さんを超える逸材が居るならすぐに呼んで下さい」
悲しみの涙はあたたかい涙に変わり、朧は雪男の手を一度ぎゅっと握って合図を送る。
「あー、えーと…ちょっと発表っていうか…頼みがあるんだ」
皆の視線が集まる。
朧は朔に笑いかけて、口を開いた。
朧はまだ酒を覚えたてで弱く、本人もあまり酒が好きではないらしく、大宴会となって盛り上がる中しらふで上座にちょこんと正座して羽目を外す兄姉たちを楽しそうに見ていた。
特に雪男への皆の囃子っぷりが凄まじく、もう明日にはここを発つ兄姉たちが別れを惜しむあまりに羽目を外しているのが分かる。
「朧、ご苦労だったね」
「兄様、輝夜兄様」
長兄と次兄が輪から抜け出て朧の前に座ると、酒ではなく甘い果実を絞った果汁入りの飲み物を手渡した。
「なんだか気疲れしました。兄様たちもご協力ありがとうございました」
今日のためにやや伸びていた髪をすっきり切った朔は、熱心に見つめてくる白兎や氷麗に気付いていないふりをしながら首を振った。
「妹の晴れの舞台だからね。輝夜も明日発つことになった。今のうちに沢山話すといいよ」
朧は黙って微笑んでいる輝夜を目をまん丸にして見つめて袖を強く握った。
「そんな…輝夜兄様…」
「私は行かなければ。今生の別れではないのだから、また会えますよ。お前の未来は見えています」
礼装ながらやはり若干緩んでいる胸元を朔が正してやった後席を立ち、ふたりきりになった朧は目を潤ませて頭を下げた。
「私の声を聞いて下さってありがとうございます」
「心の悲鳴というものは本当に悲痛で胸が張り裂けそうになります。お前のもそうでした。よくここまで耐えましたね。偉い偉い」
輝夜に頭を撫でてもらうと、堪えていた涙が一気に溢れて止まらなくなった。
両親に今まで育ててもらった礼を述べた時ですらなんとか堪え切ることができた涙は一向に止まらず、慌てた雪男が駆け寄って袖で涙を拭ってやった。
「輝夜兄様…またすぐ会いに来てくれますか?」
「そうですねえ、お前たちに子ができた時は必ず」
「それより輝兄は大切な方を作るべきよ」
「私の兄さんを超える逸材が居るならすぐに呼んで下さい」
悲しみの涙はあたたかい涙に変わり、朧は雪男の手を一度ぎゅっと握って合図を送る。
「あー、えーと…ちょっと発表っていうか…頼みがあるんだ」
皆の視線が集まる。
朧は朔に笑いかけて、口を開いた。

