祝言の前日ーー朔は自室に雪男を招き入れてふたりきりになった。
輝夜は障子を挟んで部屋の前に座り、中の様子を知りたがる弟妹たちを笑顔で遠ざけていた。
「あの…めっちゃ緊張すんだけど、何の用…」
ーー朔は成長期を迎えた頃から急に強く美しく、瞳の中に星のような妖気が瞬くようになり、あまり面と向かって目を合わせることができなくなった。
ぐっと背も高くなって男らしくなったものの、笑うと息吹によく似ていて見惚れそうになることもあるため、邪な感情を抱く者もよく居るが、朔は自分が育てたようなもの。
それでもやはりふたりきりは緊張して居心地悪くもそもそ身体を動かしていると、朔は戸棚から酒と盃を取り出して顔の前で振ってみせた。
「一杯やろう」
「こら、百鬼夜行前になに飲もうとしてんだよ」
「いいじゃないか、明日は祝言で百鬼夜行はなし。酒を飲んでも飲まなくても大して変わらない。いいだろ?」
駄々をこねて上目遣いに見つめてくるあざとさに苦笑した雪男は、盃を受け取った。
「まさか…義兄弟の盃…」
「そうなるな。これからはこうして屈託無く盃を交わそう。何せ俺は義兄だからな」
「義兄さん!」
勢いに任せて冗談交じりにそう呼んでみると、朔はくすぐったそうにしてふわりと笑い、盃に酒を注いだ。
「俺はお前が母様に恋してそのまま誰を見返ることもなく過ごしてきたのをすぐ傍から見ていた。だから俺の妹がお前を射止めて本当によかったと思ってる」
「…朧も最初は息吹の子って印象でしかなかったんだ。でもなんか夢を見てさ…きれいになっててさ…それから少しずつ意識してたらいつの間にか…だな。先先代にも言われたけどほんと行かず後家になるとこを救われたよ」
「ふふっ、だけど奇跡としか言いようがなかったな。同族ではなく触れ合える相手に巡り合う…」
朔の盃に雪男が酒を注ぎ、一度かちんと合わせた後ふたりは心から笑み、一気に飲み干した。
「ちなみに俺の真名だが、呼んでもいいぞ。お前は百鬼だが義兄弟でもあるからな」
「!い、いやいやそんな恐れ多いぜ義兄さん!」
朔は元々無口ではないがいつもよりよく話し、百鬼夜行に出るぎりぎりまで飲み明かした後平然とした顔で百鬼夜行をこなして皆に驚かれていた。
輝夜は障子を挟んで部屋の前に座り、中の様子を知りたがる弟妹たちを笑顔で遠ざけていた。
「あの…めっちゃ緊張すんだけど、何の用…」
ーー朔は成長期を迎えた頃から急に強く美しく、瞳の中に星のような妖気が瞬くようになり、あまり面と向かって目を合わせることができなくなった。
ぐっと背も高くなって男らしくなったものの、笑うと息吹によく似ていて見惚れそうになることもあるため、邪な感情を抱く者もよく居るが、朔は自分が育てたようなもの。
それでもやはりふたりきりは緊張して居心地悪くもそもそ身体を動かしていると、朔は戸棚から酒と盃を取り出して顔の前で振ってみせた。
「一杯やろう」
「こら、百鬼夜行前になに飲もうとしてんだよ」
「いいじゃないか、明日は祝言で百鬼夜行はなし。酒を飲んでも飲まなくても大して変わらない。いいだろ?」
駄々をこねて上目遣いに見つめてくるあざとさに苦笑した雪男は、盃を受け取った。
「まさか…義兄弟の盃…」
「そうなるな。これからはこうして屈託無く盃を交わそう。何せ俺は義兄だからな」
「義兄さん!」
勢いに任せて冗談交じりにそう呼んでみると、朔はくすぐったそうにしてふわりと笑い、盃に酒を注いだ。
「俺はお前が母様に恋してそのまま誰を見返ることもなく過ごしてきたのをすぐ傍から見ていた。だから俺の妹がお前を射止めて本当によかったと思ってる」
「…朧も最初は息吹の子って印象でしかなかったんだ。でもなんか夢を見てさ…きれいになっててさ…それから少しずつ意識してたらいつの間にか…だな。先先代にも言われたけどほんと行かず後家になるとこを救われたよ」
「ふふっ、だけど奇跡としか言いようがなかったな。同族ではなく触れ合える相手に巡り合う…」
朔の盃に雪男が酒を注ぎ、一度かちんと合わせた後ふたりは心から笑み、一気に飲み干した。
「ちなみに俺の真名だが、呼んでもいいぞ。お前は百鬼だが義兄弟でもあるからな」
「!い、いやいやそんな恐れ多いぜ義兄さん!」
朔は元々無口ではないがいつもよりよく話し、百鬼夜行に出るぎりぎりまで飲み明かした後平然とした顔で百鬼夜行をこなして皆に驚かれていた。

