銀と若葉が屋敷についた時、息吹が丹精こめて育てた花々が咲き乱れている庭には手桶を持った雪男が立っていた。
「お、若葉じゃないか。今日から息吹と晴明の屋敷でしばらく暮らすんだろ?息吹をよろしくな」
「うん。雪ちゃんは会いに来てくれないの?」
「行きたいんだけど主さまに止められてっから無理。ったく独占欲激しすぎなんだよな」
銀の背中から下りた若葉は、銀と主さまの次に綺麗だと思っている雪男の腰に抱き着いて抱っこしてもらった。
青い髪がとても珍しくて、真っ青な雪男の瞳も綺麗でとても美しいので、つい瞼を指で広げて眼球を観察してしまった。
「おいこら痛いぞ、離せって。お前は小さかった頃の息吹よりお転婆だな」
「お姉ちゃんよりも?私もお姉ちゃんみたいに綺麗になれると思う?」
「どうかなー、息吹は特別綺麗だからなあ。…こんなこと言ってたら地獄耳のやきもちやきが起きてくるからやめとこう。さあこっちに来い、遊んでやる」
意外と子供好きな雪男と若葉が庭で追いかけっこをはじめたので、銀は縁側に腰掛けて主さまと息吹の部屋に通じる障子をぽすぽすと叩いた。
「若葉を連れて来たぞ。しばらく預けるが、よろしく頼む」
「…わかっている。この際お前も晴明の屋敷に滞在すればいいじゃないか」
まだ早朝だったのでてっきりまだ主さまが寝ているものと思っていたのだが、障子が開くとすっかり身支度を整えた主さまが欠伸をしながら出て来た。
これから息吹を平安町の晴明の屋敷まで送り出すつもりなのか、歓声を上げて庭を走り回っている若葉と雪男を眺めている銀の隣に腰掛けた主さまはにんまりと笑って銀の肩を肩で押した。
「どうした、羨ましいのか?」
「いや…俺はあんな風に遊んでやったことがないな、と思っただけだ。面白いことのひとつも言ってやれないし、若葉は俺と一緒に居て楽しいだろうか?」
「さあ、若葉に直接聴け。…だが文句のひとつも言わずお前の傍に居るのなら、お前を慕っているんだと思うぞ。あまり思い悩むな」
「別に思い悩んでなんかいない。ま、晴明の屋敷に滞在するというのはいい案だな。お?息吹が来たぞ、しかし大きい腹だ」
息吹がつらそうにして縁側に現れると、それまで庭で若葉と遊んでやっていた雪男が早速息吹に駆け寄り、それよりも早く主さまが息吹に駆け寄って背中を支えてやりながら縁側に座らせた。
この3人は相変わらずだ。
だがその光景は見ていて楽しくもあり、若葉を膝に乗せた銀は名残を惜しんで若葉の髪をずっと撫でていた。
「お、若葉じゃないか。今日から息吹と晴明の屋敷でしばらく暮らすんだろ?息吹をよろしくな」
「うん。雪ちゃんは会いに来てくれないの?」
「行きたいんだけど主さまに止められてっから無理。ったく独占欲激しすぎなんだよな」
銀の背中から下りた若葉は、銀と主さまの次に綺麗だと思っている雪男の腰に抱き着いて抱っこしてもらった。
青い髪がとても珍しくて、真っ青な雪男の瞳も綺麗でとても美しいので、つい瞼を指で広げて眼球を観察してしまった。
「おいこら痛いぞ、離せって。お前は小さかった頃の息吹よりお転婆だな」
「お姉ちゃんよりも?私もお姉ちゃんみたいに綺麗になれると思う?」
「どうかなー、息吹は特別綺麗だからなあ。…こんなこと言ってたら地獄耳のやきもちやきが起きてくるからやめとこう。さあこっちに来い、遊んでやる」
意外と子供好きな雪男と若葉が庭で追いかけっこをはじめたので、銀は縁側に腰掛けて主さまと息吹の部屋に通じる障子をぽすぽすと叩いた。
「若葉を連れて来たぞ。しばらく預けるが、よろしく頼む」
「…わかっている。この際お前も晴明の屋敷に滞在すればいいじゃないか」
まだ早朝だったのでてっきりまだ主さまが寝ているものと思っていたのだが、障子が開くとすっかり身支度を整えた主さまが欠伸をしながら出て来た。
これから息吹を平安町の晴明の屋敷まで送り出すつもりなのか、歓声を上げて庭を走り回っている若葉と雪男を眺めている銀の隣に腰掛けた主さまはにんまりと笑って銀の肩を肩で押した。
「どうした、羨ましいのか?」
「いや…俺はあんな風に遊んでやったことがないな、と思っただけだ。面白いことのひとつも言ってやれないし、若葉は俺と一緒に居て楽しいだろうか?」
「さあ、若葉に直接聴け。…だが文句のひとつも言わずお前の傍に居るのなら、お前を慕っているんだと思うぞ。あまり思い悩むな」
「別に思い悩んでなんかいない。ま、晴明の屋敷に滞在するというのはいい案だな。お?息吹が来たぞ、しかし大きい腹だ」
息吹がつらそうにして縁側に現れると、それまで庭で若葉と遊んでやっていた雪男が早速息吹に駆け寄り、それよりも早く主さまが息吹に駆け寄って背中を支えてやりながら縁側に座らせた。
この3人は相変わらずだ。
だがその光景は見ていて楽しくもあり、若葉を膝に乗せた銀は名残を惜しんで若葉の髪をずっと撫でていた。

