主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

棟梁が手にしていた図面を見た雪男は、その広さに唖然として後退りした。


ふたりで住むには広すぎ、何をもってこの大きさになったのか理解に苦しんだ。


「あの、主さま…広すぎじゃね?」


「子は多いに限る。うちは母様が多産だったからな、朧もそうかもしれないだろう」


「んん…まあそうだな…頑張ります…」


「とうとうこんな日が来るとはな。…俺も焦るべきか?」


珍しく朔から相談めいたことを言われた雪男は、小さく笑い声をあげて首を振った。


「主さまは主さまがしたいようにすればいいさ。輝夜の話だと別嬪と出会うらしいじゃん」


「あいつの話は的を得ないからな、話半分に聞いている」


「先代と息吹は色々あったから、もしかしたら主さまも山あり谷ありかもだぜ」


「その方がいい。お前たちのように困難が待ち受けていた方が燃え上がるというものだ」


ーー朔に狙われたら普通の女なら即落ち。
逆に落ちない女なんて居るのだろうか、と首を捻りながら、連れ去られた朧のことが心配で朔と共に丘を降りる。


「で?本当に祝言まで会っちゃいけないのか?」


「一応そうなっているが、ばれなきゃいいんじゃないか」


意外と悪いことを言う朔にまた笑みを誘われた雪男は、恐らく十六夜にあることないこと吹き込まれるであろう過去話に身震いしたが、朧は肝が据わっているため、心配しないことにした。


「で?俺はどんな準備をしたらいいんだ?」


「そうだな、ひとまず輝夜から下の弟妹たちの相手だな。皆お前と絡みたくてうずうずしている」



周りを見ると、待ってましたと言わんばかりに皆が目をぎらぎらさせていて、また身震い。


「兄様がお務めの間は我らと共に兄弟の盃を交わそうぞ」


「ひええ…っ」


うわばみたちに囲まれて、げっそり。