「証明してみせて」
「証明って…何を?」
「あなたたちの心が通い合っているのかどうかを、見せて」
雪男と朧は顔を見合わせて頷き合うと、氷麗の意図を汲むことにした。
雪男が掌を差し出し、朧がその手を取って双方に火傷や凍傷がないことを見せた。
…この世で唯一、同族ではなく雪男と手を繋いでも平気な存在が、自分だ。
それをとても誇らしく思い、雪男の長い指を握って儚く微笑むとーー
雪男が突然手を引っ張って引き寄せると、斜めに顔を近付けて朧の唇を奪った。
「…!」
驚きのあまり動けない朧をいいことに深く唇を重ねている様を氷麗に見せつけ、息子にそんな姿を見せられた氷麗が顔を赤くして怒ろうと口を開こうとした時ーー
朧の首筋に唇の跡を見つけて、すっと立ち上がって雪男を激しく見下ろした。
「氷雨…あなた、お嫁入り前の娘さんに手を出したのね?」
「…えっ?」
唇を離した途端朧にぽかすか叩かれながら雪男が言葉に詰まると、氷麗は雪男の耳を思い切り引っ張って悲鳴を上げさせた。
「いででっ!母さん、痛い…です…」
「いくら想いが通じ合おうとも、朧様は半分人よ。人には人の習わしがあり、あなたはそれを破ったんだわ。私…あなたをそんな風に育てたつもりはなくてよ」
何となく正座してしまった雪男がしゅんとなると、氷麗は真っ白な着物の袖を握って袖越しに朧の手を握った。
「氷雨には責任を取ってもらうわ。朧様、申し訳ないですがうちの愚息のお嫁になって下さいませ」
「お、お母様…いいんですか…?」
「…ここまできたらもう私も我が儘は言えないわ。やることもやってしまったのだし」
ーー顔を赤くした朧が俯くと、雪男はその肩を抱いて頭を下げた。
「ありがとう、母さん。祝言は五日後なんだ。迎えを寄越すから絶対来てくれよ」
「ええもちろん。朧様…あの時は私きつい言葉を…」
「いいえ、いいんです。私が悪かったんですから」
「ねえ、少しだけゆっくりしていって。皆にもこのことを言わないと」
氷麗の目尻に涙が浮かぶ。
運命の女にようやく出会った息子に反対などできるはずがなかった。
「証明って…何を?」
「あなたたちの心が通い合っているのかどうかを、見せて」
雪男と朧は顔を見合わせて頷き合うと、氷麗の意図を汲むことにした。
雪男が掌を差し出し、朧がその手を取って双方に火傷や凍傷がないことを見せた。
…この世で唯一、同族ではなく雪男と手を繋いでも平気な存在が、自分だ。
それをとても誇らしく思い、雪男の長い指を握って儚く微笑むとーー
雪男が突然手を引っ張って引き寄せると、斜めに顔を近付けて朧の唇を奪った。
「…!」
驚きのあまり動けない朧をいいことに深く唇を重ねている様を氷麗に見せつけ、息子にそんな姿を見せられた氷麗が顔を赤くして怒ろうと口を開こうとした時ーー
朧の首筋に唇の跡を見つけて、すっと立ち上がって雪男を激しく見下ろした。
「氷雨…あなた、お嫁入り前の娘さんに手を出したのね?」
「…えっ?」
唇を離した途端朧にぽかすか叩かれながら雪男が言葉に詰まると、氷麗は雪男の耳を思い切り引っ張って悲鳴を上げさせた。
「いででっ!母さん、痛い…です…」
「いくら想いが通じ合おうとも、朧様は半分人よ。人には人の習わしがあり、あなたはそれを破ったんだわ。私…あなたをそんな風に育てたつもりはなくてよ」
何となく正座してしまった雪男がしゅんとなると、氷麗は真っ白な着物の袖を握って袖越しに朧の手を握った。
「氷雨には責任を取ってもらうわ。朧様、申し訳ないですがうちの愚息のお嫁になって下さいませ」
「お、お母様…いいんですか…?」
「…ここまできたらもう私も我が儘は言えないわ。やることもやってしまったのだし」
ーー顔を赤くした朧が俯くと、雪男はその肩を抱いて頭を下げた。
「ありがとう、母さん。祝言は五日後なんだ。迎えを寄越すから絶対来てくれよ」
「ええもちろん。朧様…あの時は私きつい言葉を…」
「いいえ、いいんです。私が悪かったんですから」
「ねえ、少しだけゆっくりしていって。皆にもこのことを言わないと」
氷麗の目尻に涙が浮かぶ。
運命の女にようやく出会った息子に反対などできるはずがなかった。

