久々に戻って来た名家の一人息子が女連れ…
それも同族ではないことに周囲は驚きを隠せなかったが、雪男は動じることなく実家への道を歩いて行く。
…女たちの視線がかなり痛い。
こんなに綺麗で強い男なのだからそれはもう女遊びもしただろうし、手をつけられた女だってこの中に居るかもしれないーー
「なんだそのふくれっ面は」
「お師匠様は女遊びしてたことがあるって聞いたことがあります」
「昔!だいぶ昔の話です!」
「それであんなに手馴れてるんですね。ふうん、納得しました」
「おいおい、嫌な納得の仕方はやめて!ほら着いたぞ」
朔たちと住んでいる屋敷ほどではないが、この集落では一、二を争う規模の大きさの屋敷の前で降ろされた朧は、玄関の戸が開いて冷たい表情の氷麗が出て来ると、姿勢を正して深く頭を下げた。
「お久しぶりです」
「…あら…氷雨、あなただけじゃなかったのね」
「母さん、俺たち夫婦になるんだ。話を聞いてくれるなら経緯を話すよ。聞いてくれないならこのまま帰る」
断固とした強い口調に息子の思いを読み取った氷麗は、ため息をついて仕方なく屋敷の中を指した。
「大体のことは白兎の文で知っているのよ。あの娘…目的を忘れてしまって…」
「来て早々主さまに夢中になってたぞ。ほら朧、寒いだろ、中に入れよ」
すれ違い様目を合わせた朧は氷麗の無表情に何も読み取ることができず、外よりはだいぶ暖かい屋内を雪男に案内されて陽のあたる部屋へ通された。
「で?経緯ですって?」
「ああ。何もかも…誤解から始まったんだ」
ーー白兎の文には雪男が語った内容でほぼ一致していた。
そのうち半分ほどが朔のことで割かれており、現当主の魅力に自分も白兎もやられてしまってまたため息をつきながら、目を逸らさない朧はをじっと見つめた。
「私にどうしてほしいと言うのかしら」
「夫婦になることを認めてほしい。祝言の日に幽玄町に来て一緒に過ごしてほしい」
「…」
「お母様、どうか…どうかお願いします」
また深々と頭を下げた朧のつむじを見つめた。
手塩にかけた息子が半妖を嫁に選ぶーー
氷麗はゆっくりと口を開いた。
それも同族ではないことに周囲は驚きを隠せなかったが、雪男は動じることなく実家への道を歩いて行く。
…女たちの視線がかなり痛い。
こんなに綺麗で強い男なのだからそれはもう女遊びもしただろうし、手をつけられた女だってこの中に居るかもしれないーー
「なんだそのふくれっ面は」
「お師匠様は女遊びしてたことがあるって聞いたことがあります」
「昔!だいぶ昔の話です!」
「それであんなに手馴れてるんですね。ふうん、納得しました」
「おいおい、嫌な納得の仕方はやめて!ほら着いたぞ」
朔たちと住んでいる屋敷ほどではないが、この集落では一、二を争う規模の大きさの屋敷の前で降ろされた朧は、玄関の戸が開いて冷たい表情の氷麗が出て来ると、姿勢を正して深く頭を下げた。
「お久しぶりです」
「…あら…氷雨、あなただけじゃなかったのね」
「母さん、俺たち夫婦になるんだ。話を聞いてくれるなら経緯を話すよ。聞いてくれないならこのまま帰る」
断固とした強い口調に息子の思いを読み取った氷麗は、ため息をついて仕方なく屋敷の中を指した。
「大体のことは白兎の文で知っているのよ。あの娘…目的を忘れてしまって…」
「来て早々主さまに夢中になってたぞ。ほら朧、寒いだろ、中に入れよ」
すれ違い様目を合わせた朧は氷麗の無表情に何も読み取ることができず、外よりはだいぶ暖かい屋内を雪男に案内されて陽のあたる部屋へ通された。
「で?経緯ですって?」
「ああ。何もかも…誤解から始まったんだ」
ーー白兎の文には雪男が語った内容でほぼ一致していた。
そのうち半分ほどが朔のことで割かれており、現当主の魅力に自分も白兎もやられてしまってまたため息をつきながら、目を逸らさない朧はをじっと見つめた。
「私にどうしてほしいと言うのかしら」
「夫婦になることを認めてほしい。祝言の日に幽玄町に来て一緒に過ごしてほしい」
「…」
「お母様、どうか…どうかお願いします」
また深々と頭を下げた朧のつむじを見つめた。
手塩にかけた息子が半妖を嫁に選ぶーー
氷麗はゆっくりと口を開いた。

