主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

風呂は貸し切りで広く、狭いも広いももはや関係ないふたりは抱き合って何度も口付けを交わす。

朧の高い声が漏れないように指を噛ませて愛し合い、湯が大きく跳ねた。


「もう、無理…」


上せそうになってぐったりした朧を抱き上げて脱衣所に出ると、雪男も深呼吸して息を整えながら朧の身体を丁寧に拭いて浴衣を着せるとまた抱き上げて浴衣を着て階段を上がった。


「ごめんな、無理させたか?」


「いいえ…大丈夫…」


廊下は寒く、熱が引くと目を開けた朧は、真っ青な髪から滴る水滴が顔にあたってその冷たさが心地よく、雪男の首に腕を回した。


「赤ちゃん…できるといいな…」


「う、うーん…俺は嬉しいけどそれはそれでまた主さまたちにからかわれそうだなあ…」


部屋に入り、火鉢の前に用意されている夕餉と一組しか敷かれていない床に思わず吹き出した。


「準備いいな。朧、腹減っただろ?食おう」


これもまた雪男用に冷ましたものが用意されていて、美味しそうに食べている朧を見ているだけで何もかもが満たされて行く感じがした。


「食べないんですか?」


「うん、俺はこれからお前を食うから平気」


「な…っ、まだ…するの…?」


「もちろん。お前若いんだし、俺のために頑張って下さい」


何故か敬語でにっこり最高の笑みを見せた雪男に今度は朧が吹き出して、体力を回復させるため綺麗に完食すると、待っていた雪男にひょいと抱えられて膝に乗せられた。


「後ろ抱っこ好きですね」


「うん、このうなじが最高に好き」


うなじに口付けされてぞくぞくした朧は、雪男に身を委ねて目を閉じた。


「氷雨…浮気なんかしたら…切り落としますからね」


「何を!?こわ…っ、気をつけます…てかしねえよそんなの」


独り占めできる今この時を噛みしめる。

想い合えた奇跡に、神仏は存在するのだと感謝しながら、愛し合った。