通された部屋は以前泊まった部屋ではなかったが調度類や間取りはほぼ同じで、緊張した面持ちで中へ入ると、予めすでに火鉢には火が入っていたため朧を前に座らせた。
雪男は熱に弱いがすぐに身体が溶けるわけではなく、熱いが耐えられる精神力を備えているので隣に座って部屋を見回す。
「あんまり客が居なかったな。この時期やっぱ北に行く奴は少ないのか」
「お師匠様の故郷はここより寒いんですか?」
「寒いなんてもんじゃないかも。俺は心地いいけど人が住むとこじゃないかもな。だから用が済んだらすぐ発つぞ」
宿帳に種族を書く欄があり、そのおかげで仲居が運んできたのは冷たい茶と熱い茶。
それを飲んでようやく体が温まった朧は揺れる火を見つめながら、氷麗が去ったあの日のとても冷たい眼差しと言葉を思い返して小さく息をついた。
「あの時私は焔さんとのことがあったばかりでお師匠様を拒絶していました。反対されて当然なんです」
「もう随分前から親が出てくる歳じゃないんだぜ俺は。反対されたって勘当されたって平気。お前がそれは嫌だっていうから付き合うけど」
足を投げ出して天井を見ている雪男にぴたりと寄り添った朧は、 滅多にないゆっくりとしたふたりきりの時間に目を閉じる。
すると雪男が瞼にちゅっと口付けをしてきて驚いて顔を上げた。
「お師匠様…?」
「名前、呼んで」
真っ青な目の中に朧が映る。
胸が熱くなるのを感じながら、雪男の真名を囁いた。
「氷雨…」
「…うん。なんかやっぱり我慢は身体に悪いよな?お前も…そうだろ?」
「はい…。やっと誘いに乗ってくれましたね」
「主さまたちが二度も三度も同じって俺にも言ったからさ、あー、我慢しなくていいのかって思ったら…すげえしたくなった」
ふたりで笑い合い、唇を重ね会う。
この宿屋はふたりにとって思い出の場所となった。
雪男は熱に弱いがすぐに身体が溶けるわけではなく、熱いが耐えられる精神力を備えているので隣に座って部屋を見回す。
「あんまり客が居なかったな。この時期やっぱ北に行く奴は少ないのか」
「お師匠様の故郷はここより寒いんですか?」
「寒いなんてもんじゃないかも。俺は心地いいけど人が住むとこじゃないかもな。だから用が済んだらすぐ発つぞ」
宿帳に種族を書く欄があり、そのおかげで仲居が運んできたのは冷たい茶と熱い茶。
それを飲んでようやく体が温まった朧は揺れる火を見つめながら、氷麗が去ったあの日のとても冷たい眼差しと言葉を思い返して小さく息をついた。
「あの時私は焔さんとのことがあったばかりでお師匠様を拒絶していました。反対されて当然なんです」
「もう随分前から親が出てくる歳じゃないんだぜ俺は。反対されたって勘当されたって平気。お前がそれは嫌だっていうから付き合うけど」
足を投げ出して天井を見ている雪男にぴたりと寄り添った朧は、 滅多にないゆっくりとしたふたりきりの時間に目を閉じる。
すると雪男が瞼にちゅっと口付けをしてきて驚いて顔を上げた。
「お師匠様…?」
「名前、呼んで」
真っ青な目の中に朧が映る。
胸が熱くなるのを感じながら、雪男の真名を囁いた。
「氷雨…」
「…うん。なんかやっぱり我慢は身体に悪いよな?お前も…そうだろ?」
「はい…。やっと誘いに乗ってくれましたね」
「主さまたちが二度も三度も同じって俺にも言ったからさ、あー、我慢しなくていいのかって思ったら…すげえしたくなった」
ふたりで笑い合い、唇を重ね会う。
この宿屋はふたりにとって思い出の場所となった。

