「え…泊まり…ですか?」
「ああ。あのさ、俺たち夫婦になっても旅行とか難しいし。主さまが気を遣ってくれて明日の夜まで自由なんだ。だからどこかに出かけよう」
最初は意味がわからず雪男の前で正座してぽかんとしていたが、手を握ってきた雪男の笑みに実感が湧き、膝の間に割って入った。
「どこでもいいです!行きたい!」
「おう。南か北か、どっちがいい?」
そこで朧はひとつの難問が解決していないことを思いつき、黙り込む。
心配した雪男が顔を覗き込むと、朧は雪男の両手を包み込んで、囁いた。
「お師匠様…お師匠様の故郷に行きたいです」
「え…」
母の氷麗には夫婦になることを反対されたまま。
その問題を解決しなければ心の底から喜ぶことはできない。
「祝言の日にはここへ来て頂いて祝ってもらいたいんです。…駄目ですか?」
「や、駄目じゃないけどさ…快くは思われないかもだぞ?」
「それは覚悟してます。でもあなたが一緒だから平気」
細い身体をぎゅうっと抱きしめた雪男は、縁側で日向ぼっこをしていた猫又に声をかけた。
「猫又、ちょっと話が…」
「僕に乗ってもいいにゃ」
「へ?」
「主さまから話を聞いてるにゃ。木天蓼も貰ったし毛づくろいもしてもらったし、どこでも行くにゃ!」
「主さま…」
今は短い睡眠を取っている朔に感謝しつつ朧の手を取って立たせると、自室へ行って用意をさせた。
「北は寒いから羽織とか持ってけよ。腹巻きもな」
「腹巻きなんかしたことありません!」
用意をしつつ、あの夜そういえば雪男と風呂に入ったことを思い出した。
ぬるま湯で短時間であれば湯に入れることが分かったので何の気なしにそれを口にしてみた。
「また一緒にお風呂入れますね」
「…えっ?あー、ああ…うん…そうだな…」
何故か緊張した面持ちの雪男に朧が如月のようににたりと笑って怒られた。
「なんだ今の顔は!祝言までは我慢!」
ーー意外と身持ちが固く、絶対陥落させてみせると決めて準備を進めた。
「ああ。あのさ、俺たち夫婦になっても旅行とか難しいし。主さまが気を遣ってくれて明日の夜まで自由なんだ。だからどこかに出かけよう」
最初は意味がわからず雪男の前で正座してぽかんとしていたが、手を握ってきた雪男の笑みに実感が湧き、膝の間に割って入った。
「どこでもいいです!行きたい!」
「おう。南か北か、どっちがいい?」
そこで朧はひとつの難問が解決していないことを思いつき、黙り込む。
心配した雪男が顔を覗き込むと、朧は雪男の両手を包み込んで、囁いた。
「お師匠様…お師匠様の故郷に行きたいです」
「え…」
母の氷麗には夫婦になることを反対されたまま。
その問題を解決しなければ心の底から喜ぶことはできない。
「祝言の日にはここへ来て頂いて祝ってもらいたいんです。…駄目ですか?」
「や、駄目じゃないけどさ…快くは思われないかもだぞ?」
「それは覚悟してます。でもあなたが一緒だから平気」
細い身体をぎゅうっと抱きしめた雪男は、縁側で日向ぼっこをしていた猫又に声をかけた。
「猫又、ちょっと話が…」
「僕に乗ってもいいにゃ」
「へ?」
「主さまから話を聞いてるにゃ。木天蓼も貰ったし毛づくろいもしてもらったし、どこでも行くにゃ!」
「主さま…」
今は短い睡眠を取っている朔に感謝しつつ朧の手を取って立たせると、自室へ行って用意をさせた。
「北は寒いから羽織とか持ってけよ。腹巻きもな」
「腹巻きなんかしたことありません!」
用意をしつつ、あの夜そういえば雪男と風呂に入ったことを思い出した。
ぬるま湯で短時間であれば湯に入れることが分かったので何の気なしにそれを口にしてみた。
「また一緒にお風呂入れますね」
「…えっ?あー、ああ…うん…そうだな…」
何故か緊張した面持ちの雪男に朧が如月のようににたりと笑って怒られた。
「なんだ今の顔は!祝言までは我慢!」
ーー意外と身持ちが固く、絶対陥落させてみせると決めて準備を進めた。

