雪男と朔、そして雪男と十六夜ーー
親子ふたりと死闘とも呼べる騒ぎを起こした雪男のことを百鬼たちは密かに心配して噂話が流布されていた。
「先代と主さまと大喧嘩をしていたらしいが何があったんだ?」
「相当やばいことをしたんだろうよ。だがもう仲直り…いや、前より仲良くなっているような…」
ざわざわ。
陽も暮れて庭に集結した百鬼たちは、何故か緊張した面持ちの雪男と、縁側に立って集まる百鬼たちを眺めている朔を見上げる。
「さてお前たちに話がある。座ってくれ」
とうとう主さまに嫁がーー?
ざわつく百鬼たちを前に縁側に座った朔は、唇に人差し指をあてて静かにするよう合図すると一気に静まった。
…というかその仕草に見惚れていた。
「実はな、家族ができるんだ」
「おお、ついに主さま嫁を貰われるんで!?」
独特の言い回しに雪男が吹きかけたがなんとか堪え、そして朔に惚れている女の妖たちが悲鳴をあげる。
だが朔は首を振ってそれを否定し、隣の雪男の肩に手を置いた。
「俺じゃないんだ。雪男にな」
一斉に朔の傍に居た白兎に視線が集まり、怯えた白兎が朔の背中に隠れると、朧に手を差し伸べてなんとも言えぬ微笑を見せた。
「俺の妹を雪男にやることにした」
ーー一瞬の静寂が訪れた。
雪男や雪女は同族同士でなければ溶けてしまうはず。
その有り様を変えられるのは、真に心が通じ合った者のみ。
それが、朧。
百鬼たちはそれを理解すると一斉に騒ぎ始め、次々と雪男に声がかけられた。
「まさかと思っていたがやりやがったな!」
「主さまの妹を嫁に貰うとは玉の輿だな!めでたい!」
だが雪男に惚れている女たちは涙に暮れてそれを悲しんでいたが、朧は自慢げに雪男の腕に抱きついた。
「もう私のものですから諦めてください」
「ちょ、おいっ!離れろっ」
照れる雪男を尻目に離れない朧にくすくす笑った朔は皆が静まるまで待ち、低くよく通る声で語った。
「いつかは雪男を身内に…うちの家の者を嫁にと思っていたが、俺の代でそれを叶えることができて嬉しいんだ。だからお前たちにも喜んでもらいたい」
「もちろんですよ主さま!ああなんてめでたい日だ!」
なんという美男美女の夫婦が生まれたことか。
照れながらも祝福に頰を緩める雪男の肩に手を置いたまま、朔もずっと笑みが止まらず、その日の百鬼夜行は盛り上がり、多大な成果を上げた。
親子ふたりと死闘とも呼べる騒ぎを起こした雪男のことを百鬼たちは密かに心配して噂話が流布されていた。
「先代と主さまと大喧嘩をしていたらしいが何があったんだ?」
「相当やばいことをしたんだろうよ。だがもう仲直り…いや、前より仲良くなっているような…」
ざわざわ。
陽も暮れて庭に集結した百鬼たちは、何故か緊張した面持ちの雪男と、縁側に立って集まる百鬼たちを眺めている朔を見上げる。
「さてお前たちに話がある。座ってくれ」
とうとう主さまに嫁がーー?
ざわつく百鬼たちを前に縁側に座った朔は、唇に人差し指をあてて静かにするよう合図すると一気に静まった。
…というかその仕草に見惚れていた。
「実はな、家族ができるんだ」
「おお、ついに主さま嫁を貰われるんで!?」
独特の言い回しに雪男が吹きかけたがなんとか堪え、そして朔に惚れている女の妖たちが悲鳴をあげる。
だが朔は首を振ってそれを否定し、隣の雪男の肩に手を置いた。
「俺じゃないんだ。雪男にな」
一斉に朔の傍に居た白兎に視線が集まり、怯えた白兎が朔の背中に隠れると、朧に手を差し伸べてなんとも言えぬ微笑を見せた。
「俺の妹を雪男にやることにした」
ーー一瞬の静寂が訪れた。
雪男や雪女は同族同士でなければ溶けてしまうはず。
その有り様を変えられるのは、真に心が通じ合った者のみ。
それが、朧。
百鬼たちはそれを理解すると一斉に騒ぎ始め、次々と雪男に声がかけられた。
「まさかと思っていたがやりやがったな!」
「主さまの妹を嫁に貰うとは玉の輿だな!めでたい!」
だが雪男に惚れている女たちは涙に暮れてそれを悲しんでいたが、朧は自慢げに雪男の腕に抱きついた。
「もう私のものですから諦めてください」
「ちょ、おいっ!離れろっ」
照れる雪男を尻目に離れない朧にくすくす笑った朔は皆が静まるまで待ち、低くよく通る声で語った。
「いつかは雪男を身内に…うちの家の者を嫁にと思っていたが、俺の代でそれを叶えることができて嬉しいんだ。だからお前たちにも喜んでもらいたい」
「もちろんですよ主さま!ああなんてめでたい日だ!」
なんという美男美女の夫婦が生まれたことか。
照れながらも祝福に頰を緩める雪男の肩に手を置いたまま、朔もずっと笑みが止まらず、その日の百鬼夜行は盛り上がり、多大な成果を上げた。

