十六夜と息吹はふたりの帰還により屋敷を去り、夕暮れになって百鬼夜行の準備に取り掛かっていた朔は、じゃれる猫又と遊んでいた朧がこちらをじっと見ていることに気付いて手招きした。
「どうしたの」
「兄様…お願いがあるんですけど祝言の日まで黙っていていいですか?」
「なら言わなきゃ気にならないのにな。思わせぶりじゃないか?」
朔の膝に乗った朧は、近くで見ても端正すぎる美貌にも動じず朔の肩に顎を乗せて抱きつく。
「とっても反対されそうだし兄様と喧嘩したくないから黙っていたいんです」
「へえ?俺とお前が喧嘩?ますます気になるけど喧嘩はないよ。お前のお願いは叶えてやると思うからね」
雪男と朧が夫婦になることはまだ伏せられており、庭に集結している百鬼と会話をしている雪男に朧が熱い視線を送った。
「私、本当に夫婦になるんですね。夢じゃないですよね?」
「お前に手を出した時点でありとあらゆる方法でもって夫婦にさせるとも。朧、今夜は銀も輝夜も白兎も連れて行くからふたりきりだな」
朧を焚き付けておいてにやりと笑うと朧は真っ赤になって朔の背中を強めに叩いた。
「な、何が言いたいんですか!?」
「一度手を出したら二度も三度も同じってことだよ。その辺はお前たちに任せる。さて行くか」
朔が焚き付けたせいで雪男に熱視線が注がれ、何やら悪寒に襲われた雪男が身を震わせると、聡い輝夜はこちらを見ている朧を見て吹き出した。
「輝夜?」
「ふふふ、さすがは我らの妹ですね。雪男、今夜は用心しなさい。色々とね」
「は?」
「行くぞ!お前たち!」
雄々しくかけられた声に怒号とも呼べる応じる声。
百鬼夜行が空を行く。
雪男は彼らを見送り、戸締りをすべく朧に協力してもらおうと声をかけたがーー
「朧、手伝……」
「!私!お風呂に入ってきます!」
「え?ああ、分かった。……?」
庭にぽつんと残され、首を傾げる。
百鬼夜行に出た朔と輝夜は笑いながら賭けをしていた。
「雪男が屈服するか賭けよう」
「では屈服する方に」
「俺も屈服する方に」
…賭けにならず、また笑い出す。
「どうしたの」
「兄様…お願いがあるんですけど祝言の日まで黙っていていいですか?」
「なら言わなきゃ気にならないのにな。思わせぶりじゃないか?」
朔の膝に乗った朧は、近くで見ても端正すぎる美貌にも動じず朔の肩に顎を乗せて抱きつく。
「とっても反対されそうだし兄様と喧嘩したくないから黙っていたいんです」
「へえ?俺とお前が喧嘩?ますます気になるけど喧嘩はないよ。お前のお願いは叶えてやると思うからね」
雪男と朧が夫婦になることはまだ伏せられており、庭に集結している百鬼と会話をしている雪男に朧が熱い視線を送った。
「私、本当に夫婦になるんですね。夢じゃないですよね?」
「お前に手を出した時点でありとあらゆる方法でもって夫婦にさせるとも。朧、今夜は銀も輝夜も白兎も連れて行くからふたりきりだな」
朧を焚き付けておいてにやりと笑うと朧は真っ赤になって朔の背中を強めに叩いた。
「な、何が言いたいんですか!?」
「一度手を出したら二度も三度も同じってことだよ。その辺はお前たちに任せる。さて行くか」
朔が焚き付けたせいで雪男に熱視線が注がれ、何やら悪寒に襲われた雪男が身を震わせると、聡い輝夜はこちらを見ている朧を見て吹き出した。
「輝夜?」
「ふふふ、さすがは我らの妹ですね。雪男、今夜は用心しなさい。色々とね」
「は?」
「行くぞ!お前たち!」
雄々しくかけられた声に怒号とも呼べる応じる声。
百鬼夜行が空を行く。
雪男は彼らを見送り、戸締りをすべく朧に協力してもらおうと声をかけたがーー
「朧、手伝……」
「!私!お風呂に入ってきます!」
「え?ああ、分かった。……?」
庭にぽつんと残され、首を傾げる。
百鬼夜行に出た朔と輝夜は笑いながら賭けをしていた。
「雪男が屈服するか賭けよう」
「では屈服する方に」
「俺も屈服する方に」
…賭けにならず、また笑い出す。

