居間には腕組みをしてわざとらしく偉そうにしている朔の前に正座して縮こまっている雪男が。
そしてそんな雪男の傍に輝夜がまとわりついて真っ青な髪を三つ編みにしたりくすぐったりしてからかっていた。
「…あいつらが小さい時に雪男に叱られて正座させられていた時と立場が逆だな」
「ふふ、ふたりともいたずら好きだったもんね。主さま、夫婦になるって決まったからには準備することが沢山あるから忙しくなるよ」
息吹はうきうきしていたが、十六夜はそうはいかない。
末娘が嫁に出れば娘たちは全員嫁いだことになり、残るは朔と輝夜だけだ。
模範となるべき長兄と次兄があれではおちおち旅にも出れない。
「朔と輝夜は今後どうするつもりなんだ」
「あんまり女の子に興味なさそうだよね。主さまの息子なのに」
…何故かちくっと嫌味を言われた気がして息吹を薄目で睨むと、息吹は全く堪えることなく十六夜に茶を出して朔に叱られている雪男を見てくすくす笑った。
「あの子たちはあのままでいいんじゃないかな。お嫁さん候補は沢山居るけど朔ちゃんは前に鬼族の中からいずれ選ぶって私に言ったよ」
それは初耳だった十六夜は、嬉々として雪男を全力でからかっている朔が一応今後のことを考えていることにほっとした。
「…そうか、ならいい」
「さっきの主さま、本気で怒ってなかったでしょ?私には分かるんだから」
「…雪月花の幻を見た。…朧が雪男と共に血の海の中に倒れている幻だ。…あんなことにはさせたくない」
雪男の刀である雪月花は斬り結ぶ相手に見たいもの、または見たくない幻を見せる。
最も見たくなかった幻を見せられてどれだけ心が痛んだことかーー
「そっか…でも雪ちゃんが見せてるものじゃないもんね。ねえ主さま、子供が欲しいならまだまだ産めるよ?」
「な…っ、ば、馬鹿なことを言うな!それよりも俺は朔や輝夜の子を見るまではなんとしても旅には出れん」
耳を赤くしながら早口でまくし立てる十六夜の腕に抱きついてしなだれかかりながら、そうだね、と相槌を打つ。
苦難はもう訪れることはないだろう。
雪男が身内になるーー息吹は気合いを入れて準備に取り掛かった。
そしてそんな雪男の傍に輝夜がまとわりついて真っ青な髪を三つ編みにしたりくすぐったりしてからかっていた。
「…あいつらが小さい時に雪男に叱られて正座させられていた時と立場が逆だな」
「ふふ、ふたりともいたずら好きだったもんね。主さま、夫婦になるって決まったからには準備することが沢山あるから忙しくなるよ」
息吹はうきうきしていたが、十六夜はそうはいかない。
末娘が嫁に出れば娘たちは全員嫁いだことになり、残るは朔と輝夜だけだ。
模範となるべき長兄と次兄があれではおちおち旅にも出れない。
「朔と輝夜は今後どうするつもりなんだ」
「あんまり女の子に興味なさそうだよね。主さまの息子なのに」
…何故かちくっと嫌味を言われた気がして息吹を薄目で睨むと、息吹は全く堪えることなく十六夜に茶を出して朔に叱られている雪男を見てくすくす笑った。
「あの子たちはあのままでいいんじゃないかな。お嫁さん候補は沢山居るけど朔ちゃんは前に鬼族の中からいずれ選ぶって私に言ったよ」
それは初耳だった十六夜は、嬉々として雪男を全力でからかっている朔が一応今後のことを考えていることにほっとした。
「…そうか、ならいい」
「さっきの主さま、本気で怒ってなかったでしょ?私には分かるんだから」
「…雪月花の幻を見た。…朧が雪男と共に血の海の中に倒れている幻だ。…あんなことにはさせたくない」
雪男の刀である雪月花は斬り結ぶ相手に見たいもの、または見たくない幻を見せる。
最も見たくなかった幻を見せられてどれだけ心が痛んだことかーー
「そっか…でも雪ちゃんが見せてるものじゃないもんね。ねえ主さま、子供が欲しいならまだまだ産めるよ?」
「な…っ、ば、馬鹿なことを言うな!それよりも俺は朔や輝夜の子を見るまではなんとしても旅には出れん」
耳を赤くしながら早口でまくし立てる十六夜の腕に抱きついてしなだれかかりながら、そうだね、と相槌を打つ。
苦難はもう訪れることはないだろう。
雪男が身内になるーー息吹は気合いを入れて準備に取り掛かった。

