十六夜が切れた時の対策用に息吹と晴明が脇を固め、十六夜の前に雪男と朧が座っていた。
朧は隣に居ながらずっと雪男の袖を離さず、よもやーーよもや、雪男と夫婦にならんとする愛娘にあたることもできず、眼光鋭く雪男を睨みつける。
「最初に言っておく。…百鬼でありながら主の傍から去るような男を夫に迎えることはできん」
息吹が目を見張って十六夜の袖を朧のように握ったが意に介さず、固まっている雪男に静かに怒りをぶつけた。
「しかもお前は側近中の側近。功績は認めるが出奔して戻るかも分からなかった。朔が追いかけなければお前はどうしていた?」
「…この国から出て行ってたかも」
「百鬼の契約を解かないままか?馬鹿にするにも程があるだろう?そんな男が我が一族に名を連ねようというのか?」
ーーそこから責めてくるとは。
現当主の朔に言われるならともかく十六夜は代替わりして隠居の身。
朧の父として責めてくるならともかくーー
「悪かったと思ってる。俺にとっては朧の問題にはもう関わりたくなかったんだ。誤解だったから戻って来た。主さまには汚名を注ぐ機会を与えてもらったと思ってる」
「…ならばこのまま関わらなければいい。朧はやれない」
「父様!」
「十六夜さん!」
女ふたりが同時に声を上げ、すくっと立ち上がった朧は怒りに身体を震わせながら十六夜に言い放った。
「もう遅いですから!」
「…何がだ」
「ちょ…朧?お前まさか…」
できればまだ言いたくないーーいや、十六夜にだけは隠しておきたいことがある。
雪男はまさかと思いながら朧の手を引っ張ったが…
遅かった。
「私はもう昨晩お師匠様のものになりましたから!身も心も!」
「あぁぁ……先代…ごめんなさい…」
遠巻きにその様子を見ていた朔と輝夜が吹き出した。
「これはやばいことになる。見ろ父様を」
「ああ…殺されますね、これは」
ーー嫁入り前の愛娘が最も警戒する雪男のものになったと言い放ち、殺気が吹き出した十六夜は刀を手にゆっくりと立ち上がった。
「出ろ。雪月花を出せ。殺してやる」
「言っちまったもんは仕方ないか…。先代、こうして向き合うのは出会った時以来だな」
憧れていた男と対峙する。
朧は隣に居ながらずっと雪男の袖を離さず、よもやーーよもや、雪男と夫婦にならんとする愛娘にあたることもできず、眼光鋭く雪男を睨みつける。
「最初に言っておく。…百鬼でありながら主の傍から去るような男を夫に迎えることはできん」
息吹が目を見張って十六夜の袖を朧のように握ったが意に介さず、固まっている雪男に静かに怒りをぶつけた。
「しかもお前は側近中の側近。功績は認めるが出奔して戻るかも分からなかった。朔が追いかけなければお前はどうしていた?」
「…この国から出て行ってたかも」
「百鬼の契約を解かないままか?馬鹿にするにも程があるだろう?そんな男が我が一族に名を連ねようというのか?」
ーーそこから責めてくるとは。
現当主の朔に言われるならともかく十六夜は代替わりして隠居の身。
朧の父として責めてくるならともかくーー
「悪かったと思ってる。俺にとっては朧の問題にはもう関わりたくなかったんだ。誤解だったから戻って来た。主さまには汚名を注ぐ機会を与えてもらったと思ってる」
「…ならばこのまま関わらなければいい。朧はやれない」
「父様!」
「十六夜さん!」
女ふたりが同時に声を上げ、すくっと立ち上がった朧は怒りに身体を震わせながら十六夜に言い放った。
「もう遅いですから!」
「…何がだ」
「ちょ…朧?お前まさか…」
できればまだ言いたくないーーいや、十六夜にだけは隠しておきたいことがある。
雪男はまさかと思いながら朧の手を引っ張ったが…
遅かった。
「私はもう昨晩お師匠様のものになりましたから!身も心も!」
「あぁぁ……先代…ごめんなさい…」
遠巻きにその様子を見ていた朔と輝夜が吹き出した。
「これはやばいことになる。見ろ父様を」
「ああ…殺されますね、これは」
ーー嫁入り前の愛娘が最も警戒する雪男のものになったと言い放ち、殺気が吹き出した十六夜は刀を手にゆっくりと立ち上がった。
「出ろ。雪月花を出せ。殺してやる」
「言っちまったもんは仕方ないか…。先代、こうして向き合うのは出会った時以来だな」
憧れていた男と対峙する。

