若葉が小走りに駆けて山菜を摘んでいる姿を眺めていた銀は、こういう時間を持つことも大切だということを知った。
我が手で育てるとはいってもやはり実質育ててくれたのは息吹で、気が付けば若葉は立てるようになり、喋れるようになり、料理や留守番ができるようになっていた。
「目を離すとすぐに成長するんだな」
「ぎんちゃん、味ごはん作ってあげる。この前お姉ちゃんに教えてもらったから」
「ああ、じゃあ俺も手伝おう。…ん?誰か来たぞ」
銀は妖の中でも白狐という高貴で力の強い妖怪なため、意識を張り巡らしている中に何者かが侵入するとすぐにわかる。
現に今、家に向かおうとしている者の気配を感じたので、籠を抱きしめた若葉を肩車してやりながら家に引き返すと、戸の前にはふうふうとつらそうに息を吐く息吹が立っていた。
「お姉ちゃん?お腹が大きいのにどうしたの?つらかったでしょ?」
「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃんね、明日ちょっとだけ実家に戻るの。でも若葉は銀さんが出かけてる間は主さまの傍に居るんだよ。いい?それを言いに来たの」
「あのね、お姉ちゃん…お願いがあるの。ぎんちゃんもいいって言ってくれたから聴いて」
…別に“行ってもいい”と言った覚えはないが、銀がとりあえず肩を竦めると、息吹は肩車されている若葉を見上げて笑いながら戸を開けた。
「うん、いいよ。お姉ちゃんがお茶を淹れてあげるね」
――息吹は美しくなった。
身体の成長は止まったままだが、あどけなさが残る反面、少しずつ女の色気が増して、主さまを翻弄させているであろう姿を想像してしまった銀は、噴き出しながら若葉を畳に降ろした。
「どうしたの?若葉がお願いなんて珍しいからとっても難しいことじゃなければ聴いてあげる」
「あの…お姉ちゃんのお手伝いをしてもいい?お腹の赤ちゃんが生まれてくるまで、お姉ちゃんと赤ちゃんのお世話をしたいの。…駄目?」
思ってもいない若葉の協力に目を白黒させた息吹は、隣に座って大きな腹を撫でてくれる若葉のまっすぐな黒髪を撫でた。
「…いいの?私は嬉しいけど…銀さんは?」
「仕方あるまい、俺も晴明の屋敷に通うとしよう。それに十六夜も毎日通うだろうから、あまり変わらないな」
「ふふ、そうだね。若葉…ありがとう。お姉ちゃん、元気な赤ちゃんを生むからね」
「うんっ。頑張ってね、お姉ちゃん」
嬉しくなった息吹は銀と一緒に若葉の頭を撫で回した。
我が手で育てるとはいってもやはり実質育ててくれたのは息吹で、気が付けば若葉は立てるようになり、喋れるようになり、料理や留守番ができるようになっていた。
「目を離すとすぐに成長するんだな」
「ぎんちゃん、味ごはん作ってあげる。この前お姉ちゃんに教えてもらったから」
「ああ、じゃあ俺も手伝おう。…ん?誰か来たぞ」
銀は妖の中でも白狐という高貴で力の強い妖怪なため、意識を張り巡らしている中に何者かが侵入するとすぐにわかる。
現に今、家に向かおうとしている者の気配を感じたので、籠を抱きしめた若葉を肩車してやりながら家に引き返すと、戸の前にはふうふうとつらそうに息を吐く息吹が立っていた。
「お姉ちゃん?お腹が大きいのにどうしたの?つらかったでしょ?」
「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃんね、明日ちょっとだけ実家に戻るの。でも若葉は銀さんが出かけてる間は主さまの傍に居るんだよ。いい?それを言いに来たの」
「あのね、お姉ちゃん…お願いがあるの。ぎんちゃんもいいって言ってくれたから聴いて」
…別に“行ってもいい”と言った覚えはないが、銀がとりあえず肩を竦めると、息吹は肩車されている若葉を見上げて笑いながら戸を開けた。
「うん、いいよ。お姉ちゃんがお茶を淹れてあげるね」
――息吹は美しくなった。
身体の成長は止まったままだが、あどけなさが残る反面、少しずつ女の色気が増して、主さまを翻弄させているであろう姿を想像してしまった銀は、噴き出しながら若葉を畳に降ろした。
「どうしたの?若葉がお願いなんて珍しいからとっても難しいことじゃなければ聴いてあげる」
「あの…お姉ちゃんのお手伝いをしてもいい?お腹の赤ちゃんが生まれてくるまで、お姉ちゃんと赤ちゃんのお世話をしたいの。…駄目?」
思ってもいない若葉の協力に目を白黒させた息吹は、隣に座って大きな腹を撫でてくれる若葉のまっすぐな黒髪を撫でた。
「…いいの?私は嬉しいけど…銀さんは?」
「仕方あるまい、俺も晴明の屋敷に通うとしよう。それに十六夜も毎日通うだろうから、あまり変わらないな」
「ふふ、そうだね。若葉…ありがとう。お姉ちゃん、元気な赤ちゃんを生むからね」
「うんっ。頑張ってね、お姉ちゃん」
嬉しくなった息吹は銀と一緒に若葉の頭を撫で回した。

