朧と雪男が顔を見合わせて喜び合う。
輝夜はそんなふたりを見て微笑んだ後、明けた空を見上げた。
かすかに白く見える月ーー
輝夜の目の中に月が浮かび上がり、隣に居た朔は輝夜が空に居る何かと対話しているように見えた。
そして無性に不安になり、輝夜の右手をぎゅっと握った。
「兄さん?」
「まだ行くな。…行かないでくれ」
そろそろ去らなければいけないことを朔に悟られて苦笑を滲ませた輝夜は、しっかりと握られている右手を見下ろして目を細めた。
「ああ…なんだか懐かしいですね」
「輝夜、朧たちが祝言を挙げるまでは居てくれ。俺の傍に」
大好きな兄に懇願されてまた一度空を見上げた輝夜は、ふうと息を吐いてにこりと笑った。
「そうですね、それ位は大目に見てもらいましょうか」
「お前は小さな頃から目を離すとすぐ居なくなった。あの頃と同じ感覚が今ある。ここに留まっている間離さないぞ」
朔と輝夜のやりとりに朧は首を傾げていたが、雪男は知っていた。
数奇な生き方を定められている輝夜を引き止めるために朔がいつもこうして手を握っていた幼少時代を。
「輝夜、主さまに思う存分甘えとけよ。こんな甘い主さまも珍しいぜ」
「そうですねえ…では一緒に風呂に入ったりは?」
「ああ、いいぞ」
「!で、では…一緒に寝るのは?」
「うん、別に構わない」
「!!ええと、後は後は…」
顔が輝く輝夜に雪男と朧が吹き出して和んだがーー
「雪男」
とても静かな呼びかけに雪男の背筋がぴんと伸びた。
からくり人形のような動作で振り返るとーー十六夜が腕を組んで睨みつけていた。
「…祝言を挙げる…?それを決めるのは俺だ。来い」
「うわあ……怖えぇ…」
「お師匠様、しっかり!」
「お、おう。じゃあ主さま行ってくる」
「ん。健闘を祈る」
難敵、十六夜。
最後の難関に挑む。
輝夜はそんなふたりを見て微笑んだ後、明けた空を見上げた。
かすかに白く見える月ーー
輝夜の目の中に月が浮かび上がり、隣に居た朔は輝夜が空に居る何かと対話しているように見えた。
そして無性に不安になり、輝夜の右手をぎゅっと握った。
「兄さん?」
「まだ行くな。…行かないでくれ」
そろそろ去らなければいけないことを朔に悟られて苦笑を滲ませた輝夜は、しっかりと握られている右手を見下ろして目を細めた。
「ああ…なんだか懐かしいですね」
「輝夜、朧たちが祝言を挙げるまでは居てくれ。俺の傍に」
大好きな兄に懇願されてまた一度空を見上げた輝夜は、ふうと息を吐いてにこりと笑った。
「そうですね、それ位は大目に見てもらいましょうか」
「お前は小さな頃から目を離すとすぐ居なくなった。あの頃と同じ感覚が今ある。ここに留まっている間離さないぞ」
朔と輝夜のやりとりに朧は首を傾げていたが、雪男は知っていた。
数奇な生き方を定められている輝夜を引き止めるために朔がいつもこうして手を握っていた幼少時代を。
「輝夜、主さまに思う存分甘えとけよ。こんな甘い主さまも珍しいぜ」
「そうですねえ…では一緒に風呂に入ったりは?」
「ああ、いいぞ」
「!で、では…一緒に寝るのは?」
「うん、別に構わない」
「!!ええと、後は後は…」
顔が輝く輝夜に雪男と朧が吹き出して和んだがーー
「雪男」
とても静かな呼びかけに雪男の背筋がぴんと伸びた。
からくり人形のような動作で振り返るとーー十六夜が腕を組んで睨みつけていた。
「…祝言を挙げる…?それを決めるのは俺だ。来い」
「うわあ……怖えぇ…」
「お師匠様、しっかり!」
「お、おう。じゃあ主さま行ってくる」
「ん。健闘を祈る」
難敵、十六夜。
最後の難関に挑む。

