「今さらなんだけどさ、もし夫婦になること反対されたらどうする?」
「え?」
「俺たち色々あったじゃん。それに…手も出したしさ…。“やっぱりお前にはやれん!”とか先代が言いそうで」
「その時は駆け落ちしましょう。私、あなたとならどこででもやっていけます」
「そだな、その時は俺も誰かに仕えて働くか」
朧の身体に打ち掛けを巻きつけて着物を羽織った雪男は、盃をふたつ用意してひとつを朧に待たせた。
「ちょっと早いけど反対された時のことを考えて夫婦の誓いを立てようぜ」
「いいですね、でも私お酒は…」
「酔ったって俺しか居ねえじゃん。俺なら悪さしてもいいだろ?」
それもそうですね、と答えた朧は雪男を見つめた。
仮ではあるが夫婦の誓いを立てるーー反対など恐らくされないけれど、今この瞬間から夫婦となる。
だが誓いの言葉などまだ教わっていなかったので戸惑っていると、雪男が盃を出してきたのでそれに酒を注いだ。
そして朧が目眩を覚えるような笑顔で、口上を述べた。
「生涯守り、傍に侍り、盾となり、矛となることを誓約する」
「…!それって…」
「ああ、主さまと百鬼の契約を結ぶ時の口上だ。でも内容は“一生添い遂げる”って言ってるようなもんだろ?」
「ふふ、そうですね。じゃあ私も」
笑みを浮かべて待っている雪男に続き、朧も口上を述べた。
「生涯守り、傍に侍り、盾となり、矛となることを誓約します」
そしてふたり同時に一気に飲み干した。
喉が焼け付くような感覚に朧が咳き込むと、雪男は背中をさすってやりながら頭を撫でた。
「本当はちゃんとした契約の仕方があるんだけどさ、まあそれはいいや。…これで俺はお前のもの。お前は俺のものだ」
また横になってふたりで寝転びながら窓から見える月を見つめた。
「私たちの一族は何故か月夜に産まれるんです。だから今のうちに月にちなんだ名前を沢山考えて下さいね」
「おう、任せとけ」
「あと、お願いがあるんです」
「ん?」
こそりと雪男の耳元でその願いを伝えると、驚きに真っ青な目がまん丸になった。
「いや、でもそれは…」
「もう離れないって約束しましたから。絶対ですよ」
もう離れることはない。
この先の生涯、ずっとーー
「え?」
「俺たち色々あったじゃん。それに…手も出したしさ…。“やっぱりお前にはやれん!”とか先代が言いそうで」
「その時は駆け落ちしましょう。私、あなたとならどこででもやっていけます」
「そだな、その時は俺も誰かに仕えて働くか」
朧の身体に打ち掛けを巻きつけて着物を羽織った雪男は、盃をふたつ用意してひとつを朧に待たせた。
「ちょっと早いけど反対された時のことを考えて夫婦の誓いを立てようぜ」
「いいですね、でも私お酒は…」
「酔ったって俺しか居ねえじゃん。俺なら悪さしてもいいだろ?」
それもそうですね、と答えた朧は雪男を見つめた。
仮ではあるが夫婦の誓いを立てるーー反対など恐らくされないけれど、今この瞬間から夫婦となる。
だが誓いの言葉などまだ教わっていなかったので戸惑っていると、雪男が盃を出してきたのでそれに酒を注いだ。
そして朧が目眩を覚えるような笑顔で、口上を述べた。
「生涯守り、傍に侍り、盾となり、矛となることを誓約する」
「…!それって…」
「ああ、主さまと百鬼の契約を結ぶ時の口上だ。でも内容は“一生添い遂げる”って言ってるようなもんだろ?」
「ふふ、そうですね。じゃあ私も」
笑みを浮かべて待っている雪男に続き、朧も口上を述べた。
「生涯守り、傍に侍り、盾となり、矛となることを誓約します」
そしてふたり同時に一気に飲み干した。
喉が焼け付くような感覚に朧が咳き込むと、雪男は背中をさすってやりながら頭を撫でた。
「本当はちゃんとした契約の仕方があるんだけどさ、まあそれはいいや。…これで俺はお前のもの。お前は俺のものだ」
また横になってふたりで寝転びながら窓から見える月を見つめた。
「私たちの一族は何故か月夜に産まれるんです。だから今のうちに月にちなんだ名前を沢山考えて下さいね」
「おう、任せとけ」
「あと、お願いがあるんです」
「ん?」
こそりと雪男の耳元でその願いを伝えると、驚きに真っ青な目がまん丸になった。
「いや、でもそれは…」
「もう離れないって約束しましたから。絶対ですよ」
もう離れることはない。
この先の生涯、ずっとーー

