北へ進むにつれて寒くなり、身体が快適に動く。
身体のほぼ全てが雪でできているため北にしか住まない雪男や雪女が多い中、十六夜の率いる百鬼夜行を偶然目にした時から、この安寧の地から出て行く決意を固めた。
「まるで昨日のことのようなんだけどな」
一族の大反対を押し切り、幽玄町の橋の前で不遜にも十六夜を呼び出し、そして“力を示せ”と言われてまさかの一騎打ちーー
もちろん敵うはずもなかったが、顕現させた雪月花で十六夜の頰にかすり傷を負わせたことで何故か気に入られ、すぐに側近として登用された。
…主としては最悪の性格をしていたが力は確かなもので、長きに渡り仕えている間次々と女遊びをする十六夜に呆れていたがーー
息吹と出会い、十六夜は劇的に変わった。
そしてまた自分も変わった。
この可愛くて元気な女と夫婦になれたらと願ったが選ばれず、だが不思議なことにあまり落ち込むことはなく、十六夜と一緒に居る時の息吹がとても好きなんだと気付いて納得していた。
「ふう…主さま怒ってるだろうな…でも出て行くって宣言したし。俺の言い分飲んでくれるなら追って来ないはず」
各地の集落を巡って行き、珍しく単独で行動していることに驚かれつつ、それでも朔の右腕であることは周知されていたので皆があたたかく受け入れてくれる。
故郷まであと少し。
酒でも飲んで一泊して、翌日故郷の皆に顔を見せた後は異国に渡って広い世界を見るーーそれは少しだけ雪男の心を高揚させていた。
「邪魔するよ。今夜泊まっていっていいか?」
比較的大きな集落に着いて入り口を見張っていた一つ目小僧に声をかけると、そのひとつしかない大きな目がさらに大きくなって思わずのけぞった。
「お、おい?」
「あ、あんた主さまんとこの雪男だろ?何を仕出かしたんだ?面倒ごとはごめんだぜ」
「は?ちょ…意味がわかんね…」
「ひとまず長老のとこに行ってくれ。あんたを待ってる」
ーー全くもって意味がわからない。
とりあえず一つ目小僧に案内された雪男は、長老から衝撃の事実を聞かされた。
身体のほぼ全てが雪でできているため北にしか住まない雪男や雪女が多い中、十六夜の率いる百鬼夜行を偶然目にした時から、この安寧の地から出て行く決意を固めた。
「まるで昨日のことのようなんだけどな」
一族の大反対を押し切り、幽玄町の橋の前で不遜にも十六夜を呼び出し、そして“力を示せ”と言われてまさかの一騎打ちーー
もちろん敵うはずもなかったが、顕現させた雪月花で十六夜の頰にかすり傷を負わせたことで何故か気に入られ、すぐに側近として登用された。
…主としては最悪の性格をしていたが力は確かなもので、長きに渡り仕えている間次々と女遊びをする十六夜に呆れていたがーー
息吹と出会い、十六夜は劇的に変わった。
そしてまた自分も変わった。
この可愛くて元気な女と夫婦になれたらと願ったが選ばれず、だが不思議なことにあまり落ち込むことはなく、十六夜と一緒に居る時の息吹がとても好きなんだと気付いて納得していた。
「ふう…主さま怒ってるだろうな…でも出て行くって宣言したし。俺の言い分飲んでくれるなら追って来ないはず」
各地の集落を巡って行き、珍しく単独で行動していることに驚かれつつ、それでも朔の右腕であることは周知されていたので皆があたたかく受け入れてくれる。
故郷まであと少し。
酒でも飲んで一泊して、翌日故郷の皆に顔を見せた後は異国に渡って広い世界を見るーーそれは少しだけ雪男の心を高揚させていた。
「邪魔するよ。今夜泊まっていっていいか?」
比較的大きな集落に着いて入り口を見張っていた一つ目小僧に声をかけると、そのひとつしかない大きな目がさらに大きくなって思わずのけぞった。
「お、おい?」
「あ、あんた主さまんとこの雪男だろ?何を仕出かしたんだ?面倒ごとはごめんだぜ」
「は?ちょ…意味がわかんね…」
「ひとまず長老のとこに行ってくれ。あんたを待ってる」
ーー全くもって意味がわからない。
とりあえず一つ目小僧に案内された雪男は、長老から衝撃の事実を聞かされた。

