夜も明けぬ中、一度は断ったものの火急の用だと呼び出された晴明は、朔に肩を抱かれた朧の表情に足を止めた。
「雲行きが怪しいとは思っていたが…朔、そなただったのだな」
「はい。焔がとんでもないことをしたせいで怒りが振り切れました」
「ふむ…で、朧…そなたのその顔はいかに?」
ーー何かを必死に堪えているような表情。
朔が少しでも手を離せば飛んで居なくなってしまいそうな切迫感に溢れていた。
「先程まで朧に子ができたのではと思っていたのですがどうやら違うようなのです。お祖父様、診て頂けますか?」
「いいとも。で、父は雪男なのだろうな?」
沈黙が流れてそれで全てを察した晴明は、烏帽子を取ると仏頂面の十六夜を見つけてお気に入りの玩具を見つけた時のようににやりと笑う。
「これはこれは大事のようだ。朧、部屋に移動しようか。朔はここに居なさい」
ーー朧は晴明に手を繋がれて自室に移動すると、脈を測ったり裸になって腹を触られたり検診されている間ずっと黙っていた。
焔はあの最中で嘘などつかないはず。
朔に憧れて焦がれて恋しくて、雪男を恨みその末に自分が利用されたーーそうだとしても先程焔は真実を語ったはずだ。
「お祖父様…」
「ああ、終わったよ。そなたの腹に子など宿ってはおらぬ」
「…!ありがとうございます!」
「雪男の姿がなかったが…追うんだね?今度こそ、その手を掴んで来なさい」
先見の明がある晴明にぎゅっと抱きついた後、脱兎の如く駆けて庭で待っていた朔と猫又の前で止まると、朔は輝夜の頰をぴたぴたと叩いて猫又に乗った。
「夕暮れまでには戻る。後は任せたぞ」
「はい。朧、もう間違った道を歩いてはいけませんよ」
「はい!」
朔の前に座ると猫又がふわりと浮かんで走り出した。
間違った道などもう存在しない。
もう絶対に、間違えない。
「雲行きが怪しいとは思っていたが…朔、そなただったのだな」
「はい。焔がとんでもないことをしたせいで怒りが振り切れました」
「ふむ…で、朧…そなたのその顔はいかに?」
ーー何かを必死に堪えているような表情。
朔が少しでも手を離せば飛んで居なくなってしまいそうな切迫感に溢れていた。
「先程まで朧に子ができたのではと思っていたのですがどうやら違うようなのです。お祖父様、診て頂けますか?」
「いいとも。で、父は雪男なのだろうな?」
沈黙が流れてそれで全てを察した晴明は、烏帽子を取ると仏頂面の十六夜を見つけてお気に入りの玩具を見つけた時のようににやりと笑う。
「これはこれは大事のようだ。朧、部屋に移動しようか。朔はここに居なさい」
ーー朧は晴明に手を繋がれて自室に移動すると、脈を測ったり裸になって腹を触られたり検診されている間ずっと黙っていた。
焔はあの最中で嘘などつかないはず。
朔に憧れて焦がれて恋しくて、雪男を恨みその末に自分が利用されたーーそうだとしても先程焔は真実を語ったはずだ。
「お祖父様…」
「ああ、終わったよ。そなたの腹に子など宿ってはおらぬ」
「…!ありがとうございます!」
「雪男の姿がなかったが…追うんだね?今度こそ、その手を掴んで来なさい」
先見の明がある晴明にぎゅっと抱きついた後、脱兎の如く駆けて庭で待っていた朔と猫又の前で止まると、朔は輝夜の頰をぴたぴたと叩いて猫又に乗った。
「夕暮れまでには戻る。後は任せたぞ」
「はい。朧、もう間違った道を歩いてはいけませんよ」
「はい!」
朔の前に座ると猫又がふわりと浮かんで走り出した。
間違った道などもう存在しない。
もう絶対に、間違えない。

