朔と雪男は隣町で朧の痕跡を見つけていた。
「男と…一緒に…?」
「は、はい、この辺りじゃ有名な男で、小太郎といいます」
「小太郎…」
ーーひとまず朧が無事だと分かって朔はほっとしたが…
雪男の表情は格段に険しくなり、いらいらしながら指の音を鳴らしていた。
「どっちへ行った?」
「人と荷を港町まで運ぶとか…」
「そうか、わかった。恩に着る」
苛立って話をしようとしない雪男の代わりに朔が朧が泊まった宿屋の前で客引きをしていた店主に礼を言って雪男の袖を引いて路地に入った。
「落ち着け。行き先も分かった。俺は戻らなければいけないが…お前はどうする?」
「…男と一緒…」
「氷雨、しっかりしろ」
朔に頰を軽く叩かれてはっとした雪男は陽が暮れはじめた空を見上げてしばらく考えた後、珍しく朔の目を見据えた。
「一旦俺も戻る。先代や息吹に報告しないと。輝夜も参ってるし…」
「男と一緒なのが気になるのか?」
「…簡単に男と行動するなんてどうかしてる。主さま、俺、明日港町に行ってくる。主さまは目立つから屋敷にいてくれ」
小太郎という男に嫉妬していらいらしつつも冷静な雪男の肩を抱いた朔は、隣町を出て一路屋敷に戻った。
縁側にはうなだれている息吹の手を握って慰めている若葉と銀が。
ふたりが戻ると駆け寄った息吹は、朔から報告を受けてへなへなとその場に座り込んだ。
「朧ちゃん、無事なんだよね…?」
「とりあえずは。雪男が明日朧が居ると思われる町に行きます」
目尻を指で拭った息吹は、憮然としている雪男の袖を強く握った。
「雪ちゃん、朧ちゃんを見つけても怒らないでいてあげてね。きっと理由があるから。あの子を…諦めないで」
「…諦めないよ。でもその男には何かするかも。それは保証できない」
朧に手など出そうものなら、その命を奪って後悔させてやるーー
人に恨みなど抱いたことのない雪男の目に青白い炎が灯る。
「男と…一緒に…?」
「は、はい、この辺りじゃ有名な男で、小太郎といいます」
「小太郎…」
ーーひとまず朧が無事だと分かって朔はほっとしたが…
雪男の表情は格段に険しくなり、いらいらしながら指の音を鳴らしていた。
「どっちへ行った?」
「人と荷を港町まで運ぶとか…」
「そうか、わかった。恩に着る」
苛立って話をしようとしない雪男の代わりに朔が朧が泊まった宿屋の前で客引きをしていた店主に礼を言って雪男の袖を引いて路地に入った。
「落ち着け。行き先も分かった。俺は戻らなければいけないが…お前はどうする?」
「…男と一緒…」
「氷雨、しっかりしろ」
朔に頰を軽く叩かれてはっとした雪男は陽が暮れはじめた空を見上げてしばらく考えた後、珍しく朔の目を見据えた。
「一旦俺も戻る。先代や息吹に報告しないと。輝夜も参ってるし…」
「男と一緒なのが気になるのか?」
「…簡単に男と行動するなんてどうかしてる。主さま、俺、明日港町に行ってくる。主さまは目立つから屋敷にいてくれ」
小太郎という男に嫉妬していらいらしつつも冷静な雪男の肩を抱いた朔は、隣町を出て一路屋敷に戻った。
縁側にはうなだれている息吹の手を握って慰めている若葉と銀が。
ふたりが戻ると駆け寄った息吹は、朔から報告を受けてへなへなとその場に座り込んだ。
「朧ちゃん、無事なんだよね…?」
「とりあえずは。雪男が明日朧が居ると思われる町に行きます」
目尻を指で拭った息吹は、憮然としている雪男の袖を強く握った。
「雪ちゃん、朧ちゃんを見つけても怒らないでいてあげてね。きっと理由があるから。あの子を…諦めないで」
「…諦めないよ。でもその男には何かするかも。それは保証できない」
朧に手など出そうものなら、その命を奪って後悔させてやるーー
人に恨みなど抱いたことのない雪男の目に青白い炎が灯る。

