主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

「朧は来ていない。あの子が居なくなったと?」


「そうなんだ、お前に会いに行くって言ったきりで…」


息を切らしながら喘ぐように告げるとそのまままた出て行こうとした雪男の肩を掴んで制止した晴明も朧を気にかけていて占星術で星を読んでいた。

星回りが悪く、息吹の時に似ているーー当たりたくもない結果になり、急ぎ白札に息を吹きかけて鳥の式神を呼び出して夜空に飛ばす。


「私も協力しよう。平安町にも居ないようであればどこへ向かうか…私はそれを探る」


「助かる!俺は幽玄町に戻って主さまの指示を仰ぐ!」


「雪男、思い詰めてはいけないよ。朧は必ず戻って来る。皆で捜そうぞ」


ーー励ましなど必要ない。

朧が戻って来てさえくれれば何も要らない。


「俺に話すのがよっぽど嫌だったのか?そうじゃないなら…なんでだよ、朧…」


急いで幽玄町に引き返し、屋敷に着くと十六夜と息吹も来ていて視界に入ったもののまずは朔に告げなければと静かに待ってくれている朔の前で息を整えて首を振った。


「晴明に会いに行くって言ってたけど、居なかった。あいつ、平安町を出てどこかへ…」


「…朧はここから出たことがない。つまり地理には詳しくないはずだ。俺たちで捜せばきっと明日には見つかる。…今夜の百鬼夜行は中止…」


「それは駄目だ。お前はいつものように務めを果たせ。こちらは俺に任せろ」


ーー百鬼夜行が中止されたことは何度かあるが、妹の一大事でも務めを果たさなければならないことに苛立ちを覚えながらも父の命は絶対。


「…輝夜、父様と捜索にあたってくれ。俺は行って来る」


「はい。取り急ぎ近隣の村に使いを送ります」


「主さま、俺は…」


「お前も輝夜と共に。銀、行くぞ」


「ああ。明日は俺も協力する」


居なくなった朧を捜すため一丸となって皆がそれぞれの能力を発揮する。


あの子は一体どこへ行ったのかーーそれは輝夜にも読まず、道が逸れたことを知った。