「朧、お前…大丈夫なのか?」
「はい、ちょっと気分が悪くなっただけですから」
「息吹が来たからはしゃぎすぎたんだろ。気を付けろよ」
叱られても微笑んでいる朧に小さな違和感を覚えた雪男は、まだ腹に手を当てている朧を案じて箒を脇に置いて顔を覗き込んだ。
「顔色良くないな」
「貧血…かもしれません。元気つけなくちゃ。お師匠様、一緒にお饅頭食べませんか?」
さっき朝餉を食べたばかりだが、朧と過ごす時間が増えるのは嬉しいので袖を引かれて居間に戻ると甘い饅頭を一緒に食べながら顔色を伺う。
…やはり違和感を拭えない。
ちょっとした段差にも何故か慎重だし、いつも以上に食欲もある気がするがーーそれはむしろ喜ばしいこと。
時々目が合うと恍惚としてしまいそうなほどにきれいな笑顔と出会う。
元々からして先代の十六夜に似た美しさにかけては類を見ない美貌で、しかも笑うと息吹に似ているーーこんな娘に惚れられたこと自体奇跡なのに。
「お前ってやっぱきれいだよな」
「!な、なんですか急に…」
「可愛いしきれいだし、性格も気は強いけど俺はそっちのがいいし。俺って幸せもんだ」
「…そうですね、私もお師匠様みたいな素敵な方と出会えて幸せ」
…互いに褒め合って無性に照れて沈黙が流れる。
真実を打ち明けるまでは素肌に触れないーーそう決めていたが、朧は自身の袖を握って雪男の手に触れた。
「ん?どした?」
「触りたいなあって思っちゃって…」
「はは、まあそれもお前次第だからな。俺はいつでも関係だぜ」
「ふふ、そうでした。…お師匠様…私はあなたのこと、ずっと想っていますからそれを忘れないで下さいね」
…何の確認をされているのか?
分からないながらもその気持ちはとても嬉しく、雪男は朧の手に袖を通して手を重ねると、ゆっくり頷いた。
「分かってる。俺も同じだからな」
ーーこの時まではとても幸せだったのに。
その日、少し散歩をすると言って屋敷を出た朧は…
帰って来なかった。
「はい、ちょっと気分が悪くなっただけですから」
「息吹が来たからはしゃぎすぎたんだろ。気を付けろよ」
叱られても微笑んでいる朧に小さな違和感を覚えた雪男は、まだ腹に手を当てている朧を案じて箒を脇に置いて顔を覗き込んだ。
「顔色良くないな」
「貧血…かもしれません。元気つけなくちゃ。お師匠様、一緒にお饅頭食べませんか?」
さっき朝餉を食べたばかりだが、朧と過ごす時間が増えるのは嬉しいので袖を引かれて居間に戻ると甘い饅頭を一緒に食べながら顔色を伺う。
…やはり違和感を拭えない。
ちょっとした段差にも何故か慎重だし、いつも以上に食欲もある気がするがーーそれはむしろ喜ばしいこと。
時々目が合うと恍惚としてしまいそうなほどにきれいな笑顔と出会う。
元々からして先代の十六夜に似た美しさにかけては類を見ない美貌で、しかも笑うと息吹に似ているーーこんな娘に惚れられたこと自体奇跡なのに。
「お前ってやっぱきれいだよな」
「!な、なんですか急に…」
「可愛いしきれいだし、性格も気は強いけど俺はそっちのがいいし。俺って幸せもんだ」
「…そうですね、私もお師匠様みたいな素敵な方と出会えて幸せ」
…互いに褒め合って無性に照れて沈黙が流れる。
真実を打ち明けるまでは素肌に触れないーーそう決めていたが、朧は自身の袖を握って雪男の手に触れた。
「ん?どした?」
「触りたいなあって思っちゃって…」
「はは、まあそれもお前次第だからな。俺はいつでも関係だぜ」
「ふふ、そうでした。…お師匠様…私はあなたのこと、ずっと想っていますからそれを忘れないで下さいね」
…何の確認をされているのか?
分からないながらもその気持ちはとても嬉しく、雪男は朧の手に袖を通して手を重ねると、ゆっくり頷いた。
「分かってる。俺も同じだからな」
ーーこの時まではとても幸せだったのに。
その日、少し散歩をすると言って屋敷を出た朧は…
帰って来なかった。

