主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

どうやら輝夜は女子枠に入るらしく、雪男はすげなく排除されて朧の部屋で三人が今までの顛末を語り合っていた。
もちろん焔のことは省いて。


「そっか…雪ちゃんが来た時はね、とっても怖くて…もう駄目かと思ったの。でも良かった!」


「私はまだお師匠様に真実をお話してないんです。…卑怯ですよね…」


「卑怯も何も話せば分かってくれますよ。雪男もいい大人なんですから」


布団を三組敷き、思い思いに寝転んで笑い合う。
輝夜と朧がとても親しくしていたことが嬉しかったが、いつものように百鬼夜行に出た朔を思う。


「朔ちゃんは最近どう?」


「兄様はいつも通り穏やかで優しくて頼れる方です。今回のことも本当に親身になってくれて…」


言葉が詰まる朧の頭を息吹と輝夜が代わる代わる撫でる。
独りでずっと悩み続けてきた朧の気持ちを分かち合い、そして待つことを決めた雪男にも感謝した。


「雪ちゃんは本当にいい人だから、朧ちゃんの目に狂いはないよ。かっこいいし優しいし、強いしね」


「私、お師匠様しか見えなかったんです。だから…私の告白を聞いても拒絶しないでほしいな…」


「そんな度量の狭い男ならば捨てておしまいなさい。ですが兄さんが太鼓判を押していますからね、滅多なことで彼がお前を拒絶することはありませんよ」


「朧ちゃんのことは決まりだねっ。問題はお嫁さんを貰わない朔ちゃんとかぐちゃんじゃない?」


そら来た、と身構えた輝夜に笑みが零れた息吹は、冗談だよ、と前置きをしてふたりの愛しい子の手を握った。


「父様もね、長い間お嫁さんを貰わなかったから焦らなくてもいいよ。朧ちゃんのことだけはどうしても気がかりだったけど朔ちゃんもかぐちゃんも居るんだから安心だね」


大きな心だ受け止めてくれる息吹には本当に頭が上がらない。

朧と輝夜は大好きな母親の手を何度も握り返して愛情を示した。