それは身体的なものなのか、それとも心に問題があるのかーー
だがたとえ何かが欠けているとしても愛しい我が子。
息吹は躊躇なく頷いて、目の前で膝を折り、瞳を伏せて待っている男の長い指を握った。
「お願いします…助けてください…!」
「お前の声が届いた時すでにその子は命を落としかけていた。何とか神が一命を取り戻させたが、欠けてしまったものは補うことができなかった。…許せ」
「いいんです、この子は私の命ある限り欠けているものを支えて生きていきます!」
微笑した男が懐から何かを取り出して息吹に見せた。
それは橙の色の薄い鬼灯で、男はそれを示して息吹に説明をした。
「その子は特異な力を持って産まれてくるだろう。欠けたものをいつか補うことができるよう、その力を正しく使って人々を導くことができたならば、いつかその欠けたものは還ってくる。この果実は神の住まう楽園に咲いているものだ。この果実の色が濃くなった時、その子は完全なる者となる」
「使者様、欠けているものって…」
「見た目には分からないが、確かに欠けている。お前たちがそれを知る必要はない。その子だけが、産まれた時から悟っている。さあ、これを飲んで」
小さな鬼灯を受け取った息吹は、十六夜の袖を握って懇願した。
「主さま、いいよね…?」
「…分かった。俺が全力で支える。息吹、それを飲め」
息吹は両手で受け取った鬼灯をゆっくり飲み込んだ。
すると喉から腹ーーそして子宮まで光りながら到達した鬼灯が一瞬真っ白な閃光を放ち、身体から痛みもなくなり、力なく十六夜にもたれ掛かる。
「これより後、その子は我らが眷属とほぼ同等の力を得る。度々姿を消しては現れ、時空を超えて戻って来ないこともある。それでも愛せるか」
朱い髪の女に問いかけられた息吹はすぐさま頷き、ふたりをまた微笑させた。
「はい、愛します」
「これはお前の運命だった。選択の度に道は分かれるが、最後に行き着く未来は同じ。それを悲しんではいけない。お前は愛し、愛される。未来は何も変わらない」
「はい…使者様、助けてくれてありがとう…!」
ふたりの男女ーー神の鳥が閃光を放つと、その姿が素晴らしく尾の長い大きな朱い鳥と碧い鳥に変化して空に飛び立つ。
息吹はその優美な姿をいつまでもいつまでも、手を振って見送っていた。
だがたとえ何かが欠けているとしても愛しい我が子。
息吹は躊躇なく頷いて、目の前で膝を折り、瞳を伏せて待っている男の長い指を握った。
「お願いします…助けてください…!」
「お前の声が届いた時すでにその子は命を落としかけていた。何とか神が一命を取り戻させたが、欠けてしまったものは補うことができなかった。…許せ」
「いいんです、この子は私の命ある限り欠けているものを支えて生きていきます!」
微笑した男が懐から何かを取り出して息吹に見せた。
それは橙の色の薄い鬼灯で、男はそれを示して息吹に説明をした。
「その子は特異な力を持って産まれてくるだろう。欠けたものをいつか補うことができるよう、その力を正しく使って人々を導くことができたならば、いつかその欠けたものは還ってくる。この果実は神の住まう楽園に咲いているものだ。この果実の色が濃くなった時、その子は完全なる者となる」
「使者様、欠けているものって…」
「見た目には分からないが、確かに欠けている。お前たちがそれを知る必要はない。その子だけが、産まれた時から悟っている。さあ、これを飲んで」
小さな鬼灯を受け取った息吹は、十六夜の袖を握って懇願した。
「主さま、いいよね…?」
「…分かった。俺が全力で支える。息吹、それを飲め」
息吹は両手で受け取った鬼灯をゆっくり飲み込んだ。
すると喉から腹ーーそして子宮まで光りながら到達した鬼灯が一瞬真っ白な閃光を放ち、身体から痛みもなくなり、力なく十六夜にもたれ掛かる。
「これより後、その子は我らが眷属とほぼ同等の力を得る。度々姿を消しては現れ、時空を超えて戻って来ないこともある。それでも愛せるか」
朱い髪の女に問いかけられた息吹はすぐさま頷き、ふたりをまた微笑させた。
「はい、愛します」
「これはお前の運命だった。選択の度に道は分かれるが、最後に行き着く未来は同じ。それを悲しんではいけない。お前は愛し、愛される。未来は何も変わらない」
「はい…使者様、助けてくれてありがとう…!」
ふたりの男女ーー神の鳥が閃光を放つと、その姿が素晴らしく尾の長い大きな朱い鳥と碧い鳥に変化して空に飛び立つ。
息吹はその優美な姿をいつまでもいつまでも、手を振って見送っていた。

