「お願い…っ、お願いだから私の赤ちゃんを奪わないで…!」
ーー輝夜が目を閉じた朧の額に手をあてた後見えた光景は…
母の息吹がまだ膨らんでもいない腹を両手で庇ってうずくまっている姿だった。
傍にはまだ小さな赤子の姿が。
赤子ながらはっきりした顔立ちは間違いなく兄の朔で、荒い息を吐いて苦しむ息吹の身体を支えているのはーー父の十六夜だった。
「主さま…私の赤ちゃん、赤ちゃんが…!」
「…っ、息吹…その子はもう…」
「駄目…!絶対産むの!私と主さまの赤ちゃんを…!朔ちゃんの、兄弟を…っ」
まだ臨月には程遠く、宿して間もない命の突然の終焉が訪れてしまったかもしれない中、息吹が反発して涙を流しながら苦しんでいた。
産みたがる息吹に対して母体も危うくなる中、苦渋の決断を下さなければならなくなった十六夜は、何とかして息吹に決心してもらうため言い募る。
「子はまた作ればいい!息吹…俺はお前の方が大切だ…!」
「駄目、この子には二度と会えなくなっちゃう…!産みたいの!どうして…どうして私ばっかり…!」
母のその想いーーまるで自分と全く同じで、朧は部屋の片隅でその光景を脚を震わせながら見ていた。
「なんでも…なんでもします!私の…私の命と引き換えでもいい!この子を、助けて!」
「息吹!」
「朔ちゃんとこの子はきっととても仲良しになれる…そういう気がするの…!朔ちゃんのためにもこの子のためにも産んであげたい…!」
自らの命と引き換えにそれを望む息吹とは裏腹に、それを望まない十六夜は唇を噛み締めて息吹の腹に手をあてる。
今、母体から出さないと…息吹は死んでしまう。
共に長い時を生きれると思っていたのにこんな結末は望んでいないーー
腹にあてた手に力を込めて押せば腹の子は出てくるだろう。
だが、そうしたところで息吹に永遠に恨まれるかもしれない…それが怖くて仕方がない。
「…俺は、どうすれば…!」
絶望感に苛まれてどうしようもなく震えていると、突然庭が白く発光した。
「誰か…誰か、来た…」
呼ばれたように息吹が畳を這いながら、障子を開けた。
ーー輝夜が目を閉じた朧の額に手をあてた後見えた光景は…
母の息吹がまだ膨らんでもいない腹を両手で庇ってうずくまっている姿だった。
傍にはまだ小さな赤子の姿が。
赤子ながらはっきりした顔立ちは間違いなく兄の朔で、荒い息を吐いて苦しむ息吹の身体を支えているのはーー父の十六夜だった。
「主さま…私の赤ちゃん、赤ちゃんが…!」
「…っ、息吹…その子はもう…」
「駄目…!絶対産むの!私と主さまの赤ちゃんを…!朔ちゃんの、兄弟を…っ」
まだ臨月には程遠く、宿して間もない命の突然の終焉が訪れてしまったかもしれない中、息吹が反発して涙を流しながら苦しんでいた。
産みたがる息吹に対して母体も危うくなる中、苦渋の決断を下さなければならなくなった十六夜は、何とかして息吹に決心してもらうため言い募る。
「子はまた作ればいい!息吹…俺はお前の方が大切だ…!」
「駄目、この子には二度と会えなくなっちゃう…!産みたいの!どうして…どうして私ばっかり…!」
母のその想いーーまるで自分と全く同じで、朧は部屋の片隅でその光景を脚を震わせながら見ていた。
「なんでも…なんでもします!私の…私の命と引き換えでもいい!この子を、助けて!」
「息吹!」
「朔ちゃんとこの子はきっととても仲良しになれる…そういう気がするの…!朔ちゃんのためにもこの子のためにも産んであげたい…!」
自らの命と引き換えにそれを望む息吹とは裏腹に、それを望まない十六夜は唇を噛み締めて息吹の腹に手をあてる。
今、母体から出さないと…息吹は死んでしまう。
共に長い時を生きれると思っていたのにこんな結末は望んでいないーー
腹にあてた手に力を込めて押せば腹の子は出てくるだろう。
だが、そうしたところで息吹に永遠に恨まれるかもしれない…それが怖くて仕方がない。
「…俺は、どうすれば…!」
絶望感に苛まれてどうしようもなく震えていると、突然庭が白く発光した。
「誰か…誰か、来た…」
呼ばれたように息吹が畳を這いながら、障子を開けた。

