「……」
雪男が朧と客間の白兎の間を行ったり来たりしている。
それを屋根の上からずっと見ていた銀は、幽玄橋を渡る前から白兎の存在には気付いていたが敢えて口出しをしなかった。
それもこれもーー焔が行方をくらましたまま音沙汰のないことが銀の立場を危ぶめていた。
朧と夫婦になれば朔含め妖を統べる血筋の者と縁ができ、先代はともかく朔を気に入っている銀としては大問題だ。
以前のように話しかけることも何となく躊躇われて、輝夜が妙な渡りをして戻ったきたことも口出しをできなかった。
「くそ……あいつどこへ行ったんだ」
九尾の大妖である銀は今後悪さを働くことはないと朔と約束して百鬼に加わった。
合法の元百鬼夜行に加わって暴れることができるしまた朔を守ってやれるーーそのはずなのに。
「ああ銀、そこに居たんですね」
「話しかけるな」
庭から屋根を見上げた輝夜に声をかけられて凄んだ声で拒否したが、輝夜は構わず手招きをして笑いかけた。
「少し話をしませんか。今後について」
「……」
輝夜に妙な力があることは先代の時から百鬼だったので知っている。
十六夜たちが家族会議を何度も開いて神隠しのように居なくなる輝夜を探し回っていたうちのひとりである銀は仕方なく屋根から飛び降りて輝夜の前で着地した。
「下らない話なら許さないからな」
「まあそう凄まず。兄さんが今夜から百鬼夜行に出ていいと言っていました」
縁側に誘われて腰を下ろした銀のふわふわの尻尾が揺れた。
「なに、本当か」
「雪男があんな状況ですし、兄さんはあなたを買っていますからね」
耳もぴくぴくと動き、喜びを隠しきれない様子に輝夜は笑みを噛み殺して銀の尻尾を揉んで怒られた。
「触るな助平が」
「小さな頃はよく触らせてくれたじゃないですか」
以前は小さな子たちで騒がしかったこの屋敷ーー
「お前は相変わらず朔命なのか」
「ええ兄さん以上に美しい方は居ませんからね」
性を超えての愛は妖の世界ではよくあること。
朔を崇拝していることだけは同意した銀がようやく笑った。
「朔も苦労が絶えんな」
「それは私の台詞ですとも」
ふたりぼやき、渦中の雪男を眺めて息をついた。
雪男が朧と客間の白兎の間を行ったり来たりしている。
それを屋根の上からずっと見ていた銀は、幽玄橋を渡る前から白兎の存在には気付いていたが敢えて口出しをしなかった。
それもこれもーー焔が行方をくらましたまま音沙汰のないことが銀の立場を危ぶめていた。
朧と夫婦になれば朔含め妖を統べる血筋の者と縁ができ、先代はともかく朔を気に入っている銀としては大問題だ。
以前のように話しかけることも何となく躊躇われて、輝夜が妙な渡りをして戻ったきたことも口出しをできなかった。
「くそ……あいつどこへ行ったんだ」
九尾の大妖である銀は今後悪さを働くことはないと朔と約束して百鬼に加わった。
合法の元百鬼夜行に加わって暴れることができるしまた朔を守ってやれるーーそのはずなのに。
「ああ銀、そこに居たんですね」
「話しかけるな」
庭から屋根を見上げた輝夜に声をかけられて凄んだ声で拒否したが、輝夜は構わず手招きをして笑いかけた。
「少し話をしませんか。今後について」
「……」
輝夜に妙な力があることは先代の時から百鬼だったので知っている。
十六夜たちが家族会議を何度も開いて神隠しのように居なくなる輝夜を探し回っていたうちのひとりである銀は仕方なく屋根から飛び降りて輝夜の前で着地した。
「下らない話なら許さないからな」
「まあそう凄まず。兄さんが今夜から百鬼夜行に出ていいと言っていました」
縁側に誘われて腰を下ろした銀のふわふわの尻尾が揺れた。
「なに、本当か」
「雪男があんな状況ですし、兄さんはあなたを買っていますからね」
耳もぴくぴくと動き、喜びを隠しきれない様子に輝夜は笑みを噛み殺して銀の尻尾を揉んで怒られた。
「触るな助平が」
「小さな頃はよく触らせてくれたじゃないですか」
以前は小さな子たちで騒がしかったこの屋敷ーー
「お前は相変わらず朔命なのか」
「ええ兄さん以上に美しい方は居ませんからね」
性を超えての愛は妖の世界ではよくあること。
朔を崇拝していることだけは同意した銀がようやく笑った。
「朔も苦労が絶えんな」
「それは私の台詞ですとも」
ふたりぼやき、渦中の雪男を眺めて息をついた。

