ぶらりと幽玄町を散策した後屋敷に戻った輝夜は大量の菓子を持っていた。
「お前…それどうした」
「歩いていたら親切な方たちがくれたんです。人徳ですかね?」
ーー容姿からして朔の関係者であることは容易に想像でき、恐らく大半が女から貰ったであろう菓子を持った輝夜はにこにこしながら朧の部屋を訪ねた。
「朧、甘いものを頂きました。一緒に食べましょう」
山盛りの菓子が入った籠を前に朧が驚いていると、輝夜は懐から紅葉の絵が描かれた櫛を取り出して手に待たせた。
「これは私が君にと買い求めたものです。どうぞ」
「可愛い…輝夜兄様、ありがとう」
「雪男に髪を梳いてもらうといいですよ」
こそりと耳元で囁かれてそれを想像すると顔が赤くなった朧の口に飴を入れた輝夜は、金平糖を噛みながら甘く笑った。
「うちは兄弟が多いですが、私は比較的早く家を出たから弟や妹たちを可愛がれてないんです。だから私が居る間は存分に甘えて下さいね」
「はい。輝夜兄様も兄様に甘えて下さいね」
「兄さんは私の愛を拒絶するんですよ、ひどいでしょう?こんなにも慕っているというのに」
甘えていいと分かると朧は遠慮せず、朔にしているように輝夜の膝に乗って身体を預けた。
「お師匠様にこんな風にしてもらいたいのに」
「おねだりすればしてもらえますよ。君は彼の主の妹なのだから」
輝夜の言葉を聞いていると勇気が出る。
笑みが零れると、輝夜は朧の額に口づけをしてさすがに驚かれた。
「あ、これは無しなんですね?心得ました、気をつけましょう」
「ふふっ、輝夜兄様って変わってる」
「そう言われがちですが至極真っ当なつもりですよ。…ああほら来た、今夜も彼と一緒に過ごして語らいなさい」
「はい」
百鬼夜行を控えた百鬼たちが集まり、自室から出て来た雪男が彼らに鼓舞をして回る。
現れた瞬間から目を離せない。
ーー前よりももっと好きになる。
前よりももっともっと、欲している。
「……氷雨…」
いつかその名を呼べると信じていたのに。
「私を…見て…」
欲求は、募るばかり。
「お前…それどうした」
「歩いていたら親切な方たちがくれたんです。人徳ですかね?」
ーー容姿からして朔の関係者であることは容易に想像でき、恐らく大半が女から貰ったであろう菓子を持った輝夜はにこにこしながら朧の部屋を訪ねた。
「朧、甘いものを頂きました。一緒に食べましょう」
山盛りの菓子が入った籠を前に朧が驚いていると、輝夜は懐から紅葉の絵が描かれた櫛を取り出して手に待たせた。
「これは私が君にと買い求めたものです。どうぞ」
「可愛い…輝夜兄様、ありがとう」
「雪男に髪を梳いてもらうといいですよ」
こそりと耳元で囁かれてそれを想像すると顔が赤くなった朧の口に飴を入れた輝夜は、金平糖を噛みながら甘く笑った。
「うちは兄弟が多いですが、私は比較的早く家を出たから弟や妹たちを可愛がれてないんです。だから私が居る間は存分に甘えて下さいね」
「はい。輝夜兄様も兄様に甘えて下さいね」
「兄さんは私の愛を拒絶するんですよ、ひどいでしょう?こんなにも慕っているというのに」
甘えていいと分かると朧は遠慮せず、朔にしているように輝夜の膝に乗って身体を預けた。
「お師匠様にこんな風にしてもらいたいのに」
「おねだりすればしてもらえますよ。君は彼の主の妹なのだから」
輝夜の言葉を聞いていると勇気が出る。
笑みが零れると、輝夜は朧の額に口づけをしてさすがに驚かれた。
「あ、これは無しなんですね?心得ました、気をつけましょう」
「ふふっ、輝夜兄様って変わってる」
「そう言われがちですが至極真っ当なつもりですよ。…ああほら来た、今夜も彼と一緒に過ごして語らいなさい」
「はい」
百鬼夜行を控えた百鬼たちが集まり、自室から出て来た雪男が彼らに鼓舞をして回る。
現れた瞬間から目を離せない。
ーー前よりももっと好きになる。
前よりももっともっと、欲している。
「……氷雨…」
いつかその名を呼べると信じていたのに。
「私を…見て…」
欲求は、募るばかり。

