戻って来た朧の目は赤く、朔は無言で膝に乗って抱きついてきた朧の背中を撫でた。
「見てきてどうだった?」
「…私のためにあんな…」
「お前がまだ雪男を想っているならば、そこは喜ぶべきじゃないかな」
「でもあの手を冷たく感じるのは怖いんです。触りたいけど…触れない」
両者の想いは同じだが、あたたかく感じると知っているのは雪男だけ。
朧の口から別れの理由を聞くまで待つと言っていた雪男の純真な感情を慮った朔は、目に浮かぶ涙を拭ってやりながら、顔を覗き込んだ。
「俺たちにはこの際話さなくていいから、雪男だけには別れの理由を教えてあげなさい。もちろんお前の気持ちの整理がついたらでいい」
「…」
押し黙る朧をしばらくの間抱きしめ続けていると、雪男が戻ってきてそんなふたりを見て苦笑した。
「仲がよろしいことで」
「羨ましいか?代わってやろうか?」
「ふん、喧嘩売ってんのか?」
水辺で戦っているためいつも髪が濡れている雪男が帰ってきたので朔の膝から降りた朧が箪笥から手拭いを取り出して雪男に駆け寄る。
「お師匠様、これ使って下さい」
「おう、ありがとな。…お前、目が赤いぞ。寝不足なんじゃないのか?」
「い、いえ、ええと…寝すぎなのかも…」
「いいじゃん、悪夢を見ないのは輝夜のおかげだな、ちゃんと礼を言っとけよ」
真っ直ぐで真っ青な髪を乱暴に手拭いで擦るとぼさぼさになり、その可愛らしさに愛情が溢れて恋する乙女の目で見つめた朧と目が合った雪男は、背を向けて手を振った。
「ちょっと寝てくる」
「お休みなさい」
自室に向かいながら、雪男は眉根を寄せて歯を食いしばる。
「そんな目で見るなよな…」
愛してる、と言ってしまいそうになるから。
「見てきてどうだった?」
「…私のためにあんな…」
「お前がまだ雪男を想っているならば、そこは喜ぶべきじゃないかな」
「でもあの手を冷たく感じるのは怖いんです。触りたいけど…触れない」
両者の想いは同じだが、あたたかく感じると知っているのは雪男だけ。
朧の口から別れの理由を聞くまで待つと言っていた雪男の純真な感情を慮った朔は、目に浮かぶ涙を拭ってやりながら、顔を覗き込んだ。
「俺たちにはこの際話さなくていいから、雪男だけには別れの理由を教えてあげなさい。もちろんお前の気持ちの整理がついたらでいい」
「…」
押し黙る朧をしばらくの間抱きしめ続けていると、雪男が戻ってきてそんなふたりを見て苦笑した。
「仲がよろしいことで」
「羨ましいか?代わってやろうか?」
「ふん、喧嘩売ってんのか?」
水辺で戦っているためいつも髪が濡れている雪男が帰ってきたので朔の膝から降りた朧が箪笥から手拭いを取り出して雪男に駆け寄る。
「お師匠様、これ使って下さい」
「おう、ありがとな。…お前、目が赤いぞ。寝不足なんじゃないのか?」
「い、いえ、ええと…寝すぎなのかも…」
「いいじゃん、悪夢を見ないのは輝夜のおかげだな、ちゃんと礼を言っとけよ」
真っ直ぐで真っ青な髪を乱暴に手拭いで擦るとぼさぼさになり、その可愛らしさに愛情が溢れて恋する乙女の目で見つめた朧と目が合った雪男は、背を向けて手を振った。
「ちょっと寝てくる」
「お休みなさい」
自室に向かいながら、雪男は眉根を寄せて歯を食いしばる。
「そんな目で見るなよな…」
愛してる、と言ってしまいそうになるから。

