魔が魔に魅入られるーーそんなことがあるだろうかという状態に陥っていた百鬼夜行は、朔と輝夜の無双で多大なる成果を挙げていた。
「輝夜、先に風呂に入って来い。血の匂いがするぞ」
「兄さんもね。どうせなら一緒に入ればいいじゃないですか」
「いや俺は朧を見舞うから後でいい」
素っ気なく誘いを断られた輝夜が頰を膨らませながら風呂場に向かい、朔は自室に刀を放り投げてから朧を見舞った。
「顔色がだいぶ良いな」
「はい、呼吸も楽になりました」
雪男が傍に居るから改善の傾向にあったのだが朔はそれを言わずにただ微笑んで枕元に座った。
肝心の雪男は庭で最近拗ねている銀の機嫌取りをしていて、嬉しそうにしている朧の手を軽く叩く。
「しばらくは安静にしていた方が俺も安心なんだけど」
「兄様は心配性すぎますよ」
「何を言うんだ、大切な妹が死ぬかもしれないと言われたら誰だって過保護にもなる」
「兄さん、お待たせしました」
襖がすらりと開き、薬湯と薬膳粥を盆に乗せた輝夜が部屋に入ってくると、なんとも芳しい匂いが立ち込めた。
「わあ、美味しそう…」
「愛情を込めて作りましたからどうぞ」
相変わらず胸元が緩い輝夜の格好を朔が笑いながら正し、戻って来た雪男が移動式の机を用意して座った。
麗しき美貌の持ち主三人に取り囲まれて妙に緊張してしまい、輝夜がそれを察して何度か手を叩いて注目させた。
「雪男と兄さんには退出してもらいましょうか。妹とふたりゆっくり話をしたいので」
「ああ分かった。朧、お休み」
「兄様、お師匠様、お休みなさい」
ようやくふたりになると朧が粥を口にして目を輝かせる。
「美味しいっ」
「それは良かった。食べ終わったら、答えられることは全て答えますよ。聞きたいことがありますね?」
また見透かされて朧が頷き、美味しそうに食べている様子を輝夜が温かな目で見守る。
突然現れた兄だが、朔の信頼の強さーー会ったことはなかったが、安心感を与えてくれる輝夜と目が合い、やわらかな雰囲気に自然と笑顔になる。
「こんなに可愛い妹が居たのに私ときたら何故今まで帰って来なかったのかな」
頭を撫で回されながらぼやく輝夜にまた笑みを誘われた朧は、作ってくれた粥をきれいに完食した。
「輝夜、先に風呂に入って来い。血の匂いがするぞ」
「兄さんもね。どうせなら一緒に入ればいいじゃないですか」
「いや俺は朧を見舞うから後でいい」
素っ気なく誘いを断られた輝夜が頰を膨らませながら風呂場に向かい、朔は自室に刀を放り投げてから朧を見舞った。
「顔色がだいぶ良いな」
「はい、呼吸も楽になりました」
雪男が傍に居るから改善の傾向にあったのだが朔はそれを言わずにただ微笑んで枕元に座った。
肝心の雪男は庭で最近拗ねている銀の機嫌取りをしていて、嬉しそうにしている朧の手を軽く叩く。
「しばらくは安静にしていた方が俺も安心なんだけど」
「兄様は心配性すぎますよ」
「何を言うんだ、大切な妹が死ぬかもしれないと言われたら誰だって過保護にもなる」
「兄さん、お待たせしました」
襖がすらりと開き、薬湯と薬膳粥を盆に乗せた輝夜が部屋に入ってくると、なんとも芳しい匂いが立ち込めた。
「わあ、美味しそう…」
「愛情を込めて作りましたからどうぞ」
相変わらず胸元が緩い輝夜の格好を朔が笑いながら正し、戻って来た雪男が移動式の机を用意して座った。
麗しき美貌の持ち主三人に取り囲まれて妙に緊張してしまい、輝夜がそれを察して何度か手を叩いて注目させた。
「雪男と兄さんには退出してもらいましょうか。妹とふたりゆっくり話をしたいので」
「ああ分かった。朧、お休み」
「兄様、お師匠様、お休みなさい」
ようやくふたりになると朧が粥を口にして目を輝かせる。
「美味しいっ」
「それは良かった。食べ終わったら、答えられることは全て答えますよ。聞きたいことがありますね?」
また見透かされて朧が頷き、美味しそうに食べている様子を輝夜が温かな目で見守る。
突然現れた兄だが、朔の信頼の強さーー会ったことはなかったが、安心感を与えてくれる輝夜と目が合い、やわらかな雰囲気に自然と笑顔になる。
「こんなに可愛い妹が居たのに私ときたら何故今まで帰って来なかったのかな」
頭を撫で回されながらぼやく輝夜にまた笑みを誘われた朧は、作ってくれた粥をきれいに完食した。

