輝夜はその後風呂に入り、朔の着替えを勝手に拝借し、縁側で大量の酒に囲まれた雪男は戦慄を覚えていた。
「お、おいおい」
「私はともかく君は酒でも飲まねばできない話もあるでしょう?私の妹に手を出した経緯とか」
「なんだそれ具体的に話せ」
早速酒瓶に手を伸ばしつつ朔がにたりと笑う。
輝夜には何もかも知られているという自負があった雪男は、ぺこりと頭を下げた。
「いやその最終的には手を出してないけどすいませんでした」
「正直でよろしい。しかしあんなに可愛らしい娘が傍に居れば仕方ないと言えますね」
「だろ?これでも懸命に抑えてきたつもりなんだぜ」
ついに三人とも酒を注いだ盃を一度合わせると一気に飲み、酒盛りが始まる。
そんな何とも目見麗しい光景を拝もうとあちこちで日中ながら百鬼の姿も在った。
「で、朧の悪夢とやらは大丈夫なのか?」
「とりあえずはね。本人が不安に思っている限りは見続けるでしょう。まあ私が居ますからその辺はご心配なく」
風がさあっと吹き込み、輝夜の長い前髪を揺らして隠れていた右目が見えた。
全容をさらすと息も止まるほど美しく、それを隠すために髪を伸ばしていることを知っている朔は、輝夜の盃に酒を注ぎながら問うた。
「母様がお前の鬼灯を案じていたぞ。大丈夫なのか」
「ええ、色も濃くなってきましたし…私が生きている限りに熟せばいいのですが」
「お前がまだ息吹の腹の中にいた時にその鬼灯が関わったんだったなそう言えば」
「何の因果か私が選ばれてしまいましたね。まあこの話はいいじゃないですか、私は今後雪男が妹をどう扱っていくのかを知りたいな」
急に話を振られて咳き込んだ雪男の背中を朔が笑いながら撫り、同じように笑んだ輝夜が女と見紛う眼差しで雪男を見つめる。
「あー、その…もちろん…今でも嫁さんにしたいと…思ってます…」
「朧がそれを拒む理由が知りたいんでしたね」
「いやそれは本人の口から聞きたいから」
「もちろん私の口からは言いませんよ。でもね、著しく弱っているのは確かなこと。あ、そうだ兄さん、あれをやりましょうか」
「あれってなんだ」
「蔵の鍵を貸してください。小さな頃よくふたりでやったでしょう?」
ああ、と朔が思い出したように頷くと、輝夜は目が眩むような笑顔で何度も頷く。
「あれならきっと魔を祓う。でも兄さん、命を落とさぬよう気をつけて下さいね」
何やら不穏な言葉を口にした輝夜に雪男のはらはらは止まらなかった。
「お、おいおい」
「私はともかく君は酒でも飲まねばできない話もあるでしょう?私の妹に手を出した経緯とか」
「なんだそれ具体的に話せ」
早速酒瓶に手を伸ばしつつ朔がにたりと笑う。
輝夜には何もかも知られているという自負があった雪男は、ぺこりと頭を下げた。
「いやその最終的には手を出してないけどすいませんでした」
「正直でよろしい。しかしあんなに可愛らしい娘が傍に居れば仕方ないと言えますね」
「だろ?これでも懸命に抑えてきたつもりなんだぜ」
ついに三人とも酒を注いだ盃を一度合わせると一気に飲み、酒盛りが始まる。
そんな何とも目見麗しい光景を拝もうとあちこちで日中ながら百鬼の姿も在った。
「で、朧の悪夢とやらは大丈夫なのか?」
「とりあえずはね。本人が不安に思っている限りは見続けるでしょう。まあ私が居ますからその辺はご心配なく」
風がさあっと吹き込み、輝夜の長い前髪を揺らして隠れていた右目が見えた。
全容をさらすと息も止まるほど美しく、それを隠すために髪を伸ばしていることを知っている朔は、輝夜の盃に酒を注ぎながら問うた。
「母様がお前の鬼灯を案じていたぞ。大丈夫なのか」
「ええ、色も濃くなってきましたし…私が生きている限りに熟せばいいのですが」
「お前がまだ息吹の腹の中にいた時にその鬼灯が関わったんだったなそう言えば」
「何の因果か私が選ばれてしまいましたね。まあこの話はいいじゃないですか、私は今後雪男が妹をどう扱っていくのかを知りたいな」
急に話を振られて咳き込んだ雪男の背中を朔が笑いながら撫り、同じように笑んだ輝夜が女と見紛う眼差しで雪男を見つめる。
「あー、その…もちろん…今でも嫁さんにしたいと…思ってます…」
「朧がそれを拒む理由が知りたいんでしたね」
「いやそれは本人の口から聞きたいから」
「もちろん私の口からは言いませんよ。でもね、著しく弱っているのは確かなこと。あ、そうだ兄さん、あれをやりましょうか」
「あれってなんだ」
「蔵の鍵を貸してください。小さな頃よくふたりでやったでしょう?」
ああ、と朔が思い出したように頷くと、輝夜は目が眩むような笑顔で何度も頷く。
「あれならきっと魔を祓う。でも兄さん、命を落とさぬよう気をつけて下さいね」
何やら不穏な言葉を口にした輝夜に雪男のはらはらは止まらなかった。

