部屋から出てきた焔が雪男と息吹に一礼して去っていく。
息吹は中の朧になるべく優しい声で問いかけた。
「朧ちゃん、母様ですよ」
「……はい…」
「入ってもいいよね?」
「…」
無言が返ってきたが、肯定と受け取った息吹は釈然としない表情の雪男に目配せをして中に入った。
「真っ暗じゃないの。灯りつけるね」
「母様…お師匠様は…」
「外にいるよ。呼んでこようか?」
「いえ…!それは…」
泣き腫らした目の愛娘はガンとして固辞し、雪男と会おうとしない。
息吹は待った。
傍に座って、ひたすら待った。
朧が自ら話してくるを。
「お師匠様との…」
「うん」
「お師匠様との祝言は…なかったことにして下さい…」
ーーおよそ想像できなかった発言に、息吹は前傾姿勢で身を乗り出した。
「え…どうして…」
「できなくなったんです。私…お嫁さんにはなれない…」
理由を言おうとしないが、そこだけは確たる意志を持って口にしていた。
息吹の大きな目はさらに見開かれ、違うと分かっていても聞かずにはいられなかった。
「…まさか朧ちゃん…雪ちゃんじゃなくて焔ちゃんのこと…好きになったの?」
ふるふると首を振って否定されたが、どうしても納得はいかない。
朧の手の甲は何度も爪を立てたことによって傷だらけになり、今も血が滲んでいた。
「違います…」
「じゃあどうして…」
「母様…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
また泣き崩れて膝にすがりついてきた朧の背中をさすってやりながらも、息吹も混乱していた。
「雪ちゃんにはなんて説明すれば…」
「…ごめん、なさい…」
ただただ悲しんでいる。
しかもまだ雪男を想っているのは確かなのにー
皆が、混乱していた。
息吹は中の朧になるべく優しい声で問いかけた。
「朧ちゃん、母様ですよ」
「……はい…」
「入ってもいいよね?」
「…」
無言が返ってきたが、肯定と受け取った息吹は釈然としない表情の雪男に目配せをして中に入った。
「真っ暗じゃないの。灯りつけるね」
「母様…お師匠様は…」
「外にいるよ。呼んでこようか?」
「いえ…!それは…」
泣き腫らした目の愛娘はガンとして固辞し、雪男と会おうとしない。
息吹は待った。
傍に座って、ひたすら待った。
朧が自ら話してくるを。
「お師匠様との…」
「うん」
「お師匠様との祝言は…なかったことにして下さい…」
ーーおよそ想像できなかった発言に、息吹は前傾姿勢で身を乗り出した。
「え…どうして…」
「できなくなったんです。私…お嫁さんにはなれない…」
理由を言おうとしないが、そこだけは確たる意志を持って口にしていた。
息吹の大きな目はさらに見開かれ、違うと分かっていても聞かずにはいられなかった。
「…まさか朧ちゃん…雪ちゃんじゃなくて焔ちゃんのこと…好きになったの?」
ふるふると首を振って否定されたが、どうしても納得はいかない。
朧の手の甲は何度も爪を立てたことによって傷だらけになり、今も血が滲んでいた。
「違います…」
「じゃあどうして…」
「母様…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
また泣き崩れて膝にすがりついてきた朧の背中をさすってやりながらも、息吹も混乱していた。
「雪ちゃんにはなんて説明すれば…」
「…ごめん、なさい…」
ただただ悲しんでいる。
しかもまだ雪男を想っているのは確かなのにー
皆が、混乱していた。

