十六夜から文の遣いが来たのは夕暮れ前のことだった。
それも朔ではなく雪男宛てだったので、当の本人は顔を青くして立ち尽くしていた。
「雪男、こっちに来い」
朔が何人たりとも不侵入の自室へ通すと、緊張している雪男の肩を叩く。
「心配するな。ここで読んで行け」
「え、ええと…“祝言の日を決めたい。明日出向け”………え…?」
あまりの文の内容に頭が混乱し、目を白黒させる雪男をとりあえず座らせた朔は、少し障子を開けて様子を伺っていた朧を手招きして部屋に入れると、端的に告げた。
「父さまがお前と雪男の祝言を決めたいと言っている。明日ふたりで行きなさい」
「ほっ、本当ですか?!」
「決まり次第、明日皆にこのことを発表する。朧、良かったね。俺も嬉しいよ」
柔らかく笑む朔に抱きついた朧は、まだ信じられないという風に絶句している雪男のひざを叩いた。
「しっかりして下さいお師匠様!」
「あ…お、おう…なんか…夢なのかなって…」
「お前がそんなでどうする。毅然としていないと明日父さまに“やっぱりやめた”と言われかねないぞ」
「いやそれは困る!主さま…ありがとう」
裏で動いていたことは伏せていたので、何のことだか分からないという風に肩を竦めた朔は、顔を見合わせて嬉しそうにしているふたりを時間差で部屋から出す。
「…息子よ、お前は何が起こっているのか何もわからんのか?」
「…さあ、何のことだか」
「朧と頻繁に話しているようだが女子のように世間話でもしているだけか?」
時間差で部屋を出るふたりを屋根から見ていた銀は、無表情の焔にいらついて金の目をぎらつかせた。
「お前がここに居る意味を考えろ」
「…」
「今夜は俺が百鬼夜行に行く。お前は楽しく朧と茶でも飲みながら楽しめ」
ーー焔は手にした刀の鞘を強く握りしめた。
それも朔ではなく雪男宛てだったので、当の本人は顔を青くして立ち尽くしていた。
「雪男、こっちに来い」
朔が何人たりとも不侵入の自室へ通すと、緊張している雪男の肩を叩く。
「心配するな。ここで読んで行け」
「え、ええと…“祝言の日を決めたい。明日出向け”………え…?」
あまりの文の内容に頭が混乱し、目を白黒させる雪男をとりあえず座らせた朔は、少し障子を開けて様子を伺っていた朧を手招きして部屋に入れると、端的に告げた。
「父さまがお前と雪男の祝言を決めたいと言っている。明日ふたりで行きなさい」
「ほっ、本当ですか?!」
「決まり次第、明日皆にこのことを発表する。朧、良かったね。俺も嬉しいよ」
柔らかく笑む朔に抱きついた朧は、まだ信じられないという風に絶句している雪男のひざを叩いた。
「しっかりして下さいお師匠様!」
「あ…お、おう…なんか…夢なのかなって…」
「お前がそんなでどうする。毅然としていないと明日父さまに“やっぱりやめた”と言われかねないぞ」
「いやそれは困る!主さま…ありがとう」
裏で動いていたことは伏せていたので、何のことだか分からないという風に肩を竦めた朔は、顔を見合わせて嬉しそうにしているふたりを時間差で部屋から出す。
「…息子よ、お前は何が起こっているのか何もわからんのか?」
「…さあ、何のことだか」
「朧と頻繁に話しているようだが女子のように世間話でもしているだけか?」
時間差で部屋を出るふたりを屋根から見ていた銀は、無表情の焔にいらついて金の目をぎらつかせた。
「お前がここに居る意味を考えろ」
「…」
「今夜は俺が百鬼夜行に行く。お前は楽しく朧と茶でも飲みながら楽しめ」
ーー焔は手にした刀の鞘を強く握りしめた。

