焔は独りでいることが多い。
屋敷に出入りはしているが、正式な百鬼ではないので雪男もそんなに構ったりはしない。
それに、あちらから声をかけられることも少ない。
「おや、お出かけですか?」
「あー、朧が実家に用があるっていうから護衛だ。焔、屋敷は任せたぞ」
「…私は百鬼ではないのですが、良いのでしょうか」
「主さまが良いって言ってるんだからいいんだろ。じゃあな」
焔のふわふわの尻尾が表情とは裏腹に左右に揺れる。
密かに喜ぼうにも耳や尻尾で如実に分かるので、雪男は微笑ましく思いながら支度を整えた朧と玄関を出た。
「ばれないでしょうか」
「どうかな、別にいいさ。ほら」
伸ばした手を朧が取ると、屋敷から離れた所で朧を抱えて空を駆け上がる。
少し涼しくなって心地良い風に和んでいると、朧が首に抱きついて明るい声を上げた。
「気持ち良い!」
「昨日見た場所の近くに池があったと思うんだ。だから蛍が集まってたんだろうな」
そんなに遠くはなかった為、程なくして無数の淡い光が見えた。
周囲は暗闇で、灯りの代わりにと雪月花を顕現させて発光させ、池の近くのやわらかい草の上に置いて座った。
「きれい…」
淡い光を放ちながら飛び交う蛍たち。
朧が人差し指を立てると一匹が指先に止まり、髪にも止まって幻想的に顔を照らす。
「俺は冷たいから虫は寄って来ないんだ。…きれいだな」
自分に言われたのだと分かって雪男を見つめる。
雪月花と蛍がもたらす光で雪男の白皙の美貌はさらに深まり、袖を握るとそれが合図かのように互いに顔を近付けて唇を交わし合う。
ゆっくりと身体を倒されて、この先一体何が起きるのだろうかと考えたがーー
もうどうなってもいい、と思った。
屋敷に出入りはしているが、正式な百鬼ではないので雪男もそんなに構ったりはしない。
それに、あちらから声をかけられることも少ない。
「おや、お出かけですか?」
「あー、朧が実家に用があるっていうから護衛だ。焔、屋敷は任せたぞ」
「…私は百鬼ではないのですが、良いのでしょうか」
「主さまが良いって言ってるんだからいいんだろ。じゃあな」
焔のふわふわの尻尾が表情とは裏腹に左右に揺れる。
密かに喜ぼうにも耳や尻尾で如実に分かるので、雪男は微笑ましく思いながら支度を整えた朧と玄関を出た。
「ばれないでしょうか」
「どうかな、別にいいさ。ほら」
伸ばした手を朧が取ると、屋敷から離れた所で朧を抱えて空を駆け上がる。
少し涼しくなって心地良い風に和んでいると、朧が首に抱きついて明るい声を上げた。
「気持ち良い!」
「昨日見た場所の近くに池があったと思うんだ。だから蛍が集まってたんだろうな」
そんなに遠くはなかった為、程なくして無数の淡い光が見えた。
周囲は暗闇で、灯りの代わりにと雪月花を顕現させて発光させ、池の近くのやわらかい草の上に置いて座った。
「きれい…」
淡い光を放ちながら飛び交う蛍たち。
朧が人差し指を立てると一匹が指先に止まり、髪にも止まって幻想的に顔を照らす。
「俺は冷たいから虫は寄って来ないんだ。…きれいだな」
自分に言われたのだと分かって雪男を見つめる。
雪月花と蛍がもたらす光で雪男の白皙の美貌はさらに深まり、袖を握るとそれが合図かのように互いに顔を近付けて唇を交わし合う。
ゆっくりと身体を倒されて、この先一体何が起きるのだろうかと考えたがーー
もうどうなってもいい、と思った。

