氷麗が滞在している間は気が抜けない。
親子団欒の時間を楽しんでもらいたいーーそう思った朧は雪男との逢瀬を避けて繕いや朔から借りた本を読んだりしてひとりの時間を過ごすようにしていた。
焔も雪男も百鬼夜行に出ていた早朝、外から弓がしなるような音が聞こえた。
そっと障子を開けて外を見た朧は、庭に生えている木の下で、雪月花を手に落ちてくる葉を斬っている雪男を見つけた。
舞うように刀を振るい、真っ二つになる葉。
口角を上げて楽しそうにしている姿に完全に恋する目で盗み見ていると、視線に気付いた雪男が振り返る。
目が合ってしまい、咄嗟に障子を閉めた朧は動悸が止まらず、部屋の中をうろうろした。
「おいこら」
「!お、お師匠様…な、何ですか?」
「さっき目が合ったのに何だその態度は」
追ってきた雪男が部屋に入り、障子を閉める。
久々にふたりきりになり、どうすればいいかわからず後ずさりすると、追い詰めるように雪男が一歩前進する。
その真っ青な目は朧にひたと向き、とうとう壁際まで追い詰められると何とか声を振り絞った。
「べ、別に何でもありません」
「嘘つけ、さっき見てたんだろ?それにさ」
雪男の手が伸び、朧の頰に触れた。
長い指がつっと伝い、その感触に身を縮めると、まるで埋め込むようにして胸に抱きしめられた。
「最近ずっと触ってなかったし。何なの、俺を飢えさせたいわけ?」
「だって…お母様がいらっしゃるし…」
「母さん?遠慮してたってことか?」
「はい…」
奥ゆかしくも久々に抱きしめられてつい頬ずりした朧にむらっとした雪男は、薄い夜着のままだった朧を抱え上げて驚いて開いた花のような唇を奪った。
「俺こういう我慢得意じゃないから。遠慮なんかすんなよ」
「はい。お師匠様、さっきかっこよかった。何してたんですか?」
「あー、最近身体動かすのが好きでさ。昨晩の百鬼夜行は暇だったから遊んでた。汗かいたし水でも浴びて…」
「汗くさくなんかないです。私、お師匠様の匂い、好き」
驚いて目を瞬いていると、今度は朧が雪男の唇を奪う。
「私、お母様に認めて頂けるように頑張ります」
「ん、俺も先代に認めてもらえるように頑張るよ」
夜着を脱がしそうにかかる手をなんとか自戒しつつ、口付けはより深いものに変わっていった。
親子団欒の時間を楽しんでもらいたいーーそう思った朧は雪男との逢瀬を避けて繕いや朔から借りた本を読んだりしてひとりの時間を過ごすようにしていた。
焔も雪男も百鬼夜行に出ていた早朝、外から弓がしなるような音が聞こえた。
そっと障子を開けて外を見た朧は、庭に生えている木の下で、雪月花を手に落ちてくる葉を斬っている雪男を見つけた。
舞うように刀を振るい、真っ二つになる葉。
口角を上げて楽しそうにしている姿に完全に恋する目で盗み見ていると、視線に気付いた雪男が振り返る。
目が合ってしまい、咄嗟に障子を閉めた朧は動悸が止まらず、部屋の中をうろうろした。
「おいこら」
「!お、お師匠様…な、何ですか?」
「さっき目が合ったのに何だその態度は」
追ってきた雪男が部屋に入り、障子を閉める。
久々にふたりきりになり、どうすればいいかわからず後ずさりすると、追い詰めるように雪男が一歩前進する。
その真っ青な目は朧にひたと向き、とうとう壁際まで追い詰められると何とか声を振り絞った。
「べ、別に何でもありません」
「嘘つけ、さっき見てたんだろ?それにさ」
雪男の手が伸び、朧の頰に触れた。
長い指がつっと伝い、その感触に身を縮めると、まるで埋め込むようにして胸に抱きしめられた。
「最近ずっと触ってなかったし。何なの、俺を飢えさせたいわけ?」
「だって…お母様がいらっしゃるし…」
「母さん?遠慮してたってことか?」
「はい…」
奥ゆかしくも久々に抱きしめられてつい頬ずりした朧にむらっとした雪男は、薄い夜着のままだった朧を抱え上げて驚いて開いた花のような唇を奪った。
「俺こういう我慢得意じゃないから。遠慮なんかすんなよ」
「はい。お師匠様、さっきかっこよかった。何してたんですか?」
「あー、最近身体動かすのが好きでさ。昨晩の百鬼夜行は暇だったから遊んでた。汗かいたし水でも浴びて…」
「汗くさくなんかないです。私、お師匠様の匂い、好き」
驚いて目を瞬いていると、今度は朧が雪男の唇を奪う。
「私、お母様に認めて頂けるように頑張ります」
「ん、俺も先代に認めてもらえるように頑張るよ」
夜着を脱がしそうにかかる手をなんとか自戒しつつ、口付けはより深いものに変わっていった。

