客間へと案内するため廊下を朔と並んで歩く。
しずしずとついて来る氷麗を肩越しに何度も盗み見ていると、朔に袖を引っ張られて耳元でごにょり。
「口に紅がついてるぞ」
「え!?嘘っ!」
吹き出した様でそれが冗談だと分かり、どうやり込めてやろうかと睨んでいると、氷麗がくすりと笑った。
「主さまは先代とはだいぶ違われるようですね」
「何も父と全てを同じにしなくてもいいんじゃないか?俺は俺のやりたいようにやる」
なかなかな俺様発言にまた微笑み、今度はまだ居心地悪そうにしている雪男に問うた。
「何故主さまもご一緒なのかしら?」
「え?えーと…」
「俺が一緒では悪いか?」
朔の眼差しには不思議な力がある。
どんなに頑強な精神の持ち主であろうとも、最後は屈服して終いには百鬼になってしまう者も居るその視線を真っ向から受けてしまった氷麗は、俯いて若干頰を赤らめた。
「お、おいおい!頰赤らめんな!」
「まあお前も落ち着け。氷麗、突拍子も無い話をするが心を冷静にして聞いてほしい」
「はい」
母は先代に惚れていた時代がある。
結局は想い叶わず百鬼から離れて故郷に戻り、家が決めた男と夫婦になって自分が生まれたーー知っているのはこれくらいだ。
「主さま、母さんをたらし込むなよ」
「熟女も嫌いじゃないな」
またからかわれて釈然としなかったが、客間に着くと机を挟んで向かい合って座り、とうとう話をしなくてはならない曲面になってしまった。
しずしずとついて来る氷麗を肩越しに何度も盗み見ていると、朔に袖を引っ張られて耳元でごにょり。
「口に紅がついてるぞ」
「え!?嘘っ!」
吹き出した様でそれが冗談だと分かり、どうやり込めてやろうかと睨んでいると、氷麗がくすりと笑った。
「主さまは先代とはだいぶ違われるようですね」
「何も父と全てを同じにしなくてもいいんじゃないか?俺は俺のやりたいようにやる」
なかなかな俺様発言にまた微笑み、今度はまだ居心地悪そうにしている雪男に問うた。
「何故主さまもご一緒なのかしら?」
「え?えーと…」
「俺が一緒では悪いか?」
朔の眼差しには不思議な力がある。
どんなに頑強な精神の持ち主であろうとも、最後は屈服して終いには百鬼になってしまう者も居るその視線を真っ向から受けてしまった氷麗は、俯いて若干頰を赤らめた。
「お、おいおい!頰赤らめんな!」
「まあお前も落ち着け。氷麗、突拍子も無い話をするが心を冷静にして聞いてほしい」
「はい」
母は先代に惚れていた時代がある。
結局は想い叶わず百鬼から離れて故郷に戻り、家が決めた男と夫婦になって自分が生まれたーー知っているのはこれくらいだ。
「主さま、母さんをたらし込むなよ」
「熟女も嫌いじゃないな」
またからかわれて釈然としなかったが、客間に着くと机を挟んで向かい合って座り、とうとう話をしなくてはならない曲面になってしまった。

