雪男が百鬼夜行に出てからしばらくして、朧は幽玄町の茶屋で息吹と待ち合わせしていた。
店主が気を遣って奥の座敷に通してくれると、早速息吹はまだ一段ときれいになった娘を身を乗り出して眺める。
「またきれいになった?すっかり恋する乙女になっちゃって」
「雪男が…大切にしてくれるので」
恥じらいながら頰を赤らめる娘に感動しきりの息吹は恐らく一番聞きたがっているであろう案件に触れた。
「父様はね、もう諦めてます」
「え…」
「朧ちゃん、祝言の日は近いよっ」
明るい笑顔とともに息吹に宣言されて、ほっとした朧は肩の荷が下りたようにへなへなと俯いた。
「良かった…」
「で、大事なことを言いに来ました」
「?」
「夜の…あれこれをね…ちょっと教えにね…」
ーーふたりの間に沈黙が降りる。
耐えられなくなったのは息吹で、赤くなりながら高速で手を振った。
「わ、私もね、父様しか知らないからそんなに教えてあげられないんだけど…」
「母様、よろしくお願いします!」
意気込む娘の隣にもそっと移動した息吹が、朧の耳元でごにょごにょと夜のあれこれを伝授すると、朧の顔もみるみる赤くなる。
「やだ母様…父様って意外と…」
「父様はね、私と出会うまでは遊び人だったから色々知ってるんです。雪ちゃんだってきっと…」
教えてもらったことを雪男に置き換えると顔から火が出そうになり、ふたりしてもじもじしてしまった。
「よかったね朧ちゃん。雪ちゃんのことずっと好きだったもんね」
「でも雪男は母様のことが好きだったし…」
「雪ちゃんはね、主さまのことが好きな私を好きだったんだと思うの。だからあまり気にしない方がいいよ」
冷たく感じないことが何よりの証拠なのでそこはもう疑っていない。
息吹の手をがっしり掴んだ朧は鼻息荒く詰め寄る。
「母様、続きを!」
店主が気を遣って奥の座敷に通してくれると、早速息吹はまだ一段ときれいになった娘を身を乗り出して眺める。
「またきれいになった?すっかり恋する乙女になっちゃって」
「雪男が…大切にしてくれるので」
恥じらいながら頰を赤らめる娘に感動しきりの息吹は恐らく一番聞きたがっているであろう案件に触れた。
「父様はね、もう諦めてます」
「え…」
「朧ちゃん、祝言の日は近いよっ」
明るい笑顔とともに息吹に宣言されて、ほっとした朧は肩の荷が下りたようにへなへなと俯いた。
「良かった…」
「で、大事なことを言いに来ました」
「?」
「夜の…あれこれをね…ちょっと教えにね…」
ーーふたりの間に沈黙が降りる。
耐えられなくなったのは息吹で、赤くなりながら高速で手を振った。
「わ、私もね、父様しか知らないからそんなに教えてあげられないんだけど…」
「母様、よろしくお願いします!」
意気込む娘の隣にもそっと移動した息吹が、朧の耳元でごにょごにょと夜のあれこれを伝授すると、朧の顔もみるみる赤くなる。
「やだ母様…父様って意外と…」
「父様はね、私と出会うまでは遊び人だったから色々知ってるんです。雪ちゃんだってきっと…」
教えてもらったことを雪男に置き換えると顔から火が出そうになり、ふたりしてもじもじしてしまった。
「よかったね朧ちゃん。雪ちゃんのことずっと好きだったもんね」
「でも雪男は母様のことが好きだったし…」
「雪ちゃんはね、主さまのことが好きな私を好きだったんだと思うの。だからあまり気にしない方がいいよ」
冷たく感じないことが何よりの証拠なのでそこはもう疑っていない。
息吹の手をがっしり掴んだ朧は鼻息荒く詰め寄る。
「母様、続きを!」

