押し黙る父の態度を予想していた朔は、ぐいっと酒を飲むと、腕を組んで何だか嬉しそうな母に問うた。
「母様、これで弟や妹たちはほぼほぼ所帯を持ったわけですが」
「肝心の朔ちゃんが残ってるじゃない」
「ま、まあ俺の話は置いておいて下さい。で、晴れて旅に出られてもいいんじゃないですか?お祖父様やお祖母様のように」
十六夜方の祖母や祖父は隠居してから旅に出ている。
長い間子育てに時間を割いて来た息吹を労って提案すると、黙っていた十六夜が口を挟んできた。
「お前が嫁を迎えるまでは旅など出るものか」
「うーん…それは…申し訳ないですが時間がかかりそうです。父様は隠居されてからもう大分経ちますし、小旅行位…」
「待て、俺をじじい扱いするな」
酒が気管に入ってむせてしまった朔は、息吹に背中を叩いてもらいながらこみ上げる笑いを堪えることができず、十六夜が首を傾げる。
「どうした」
「いえ、雪男も同じようなことを言っていたので」
「…あれもたいがいじじいだからな。そんな奴に嫁がせるなんて正気の沙汰じゃない。あいつは俺の身内に恨みでもあるのか」
「まあまあ十六夜さん落ち着いて。朔ちゃん、朧ちゃんと雪男の件は分かりました。でもまだ父様の心の準備ができてないから時間をもらえる?」
「ええ、そのつもりです。本人も分かっているので待たせます」
「…何故あいつが会いに来ない」
「殺されるからじゃないですか?」
「……」
「この件は俺の預かりにしています。父様、短気を起こさず熟慮願います。俺は可愛い妹を泣かせたくないし、雪男を殺されたくもありません」
「…分かった」
何とか話を聞いてもらえてほっとするとーー
「じゃあ次に“朔ちゃんのお嫁さん問題”について話しましょうか」
…思わぬ流れ弾にじわじわ問い詰められて苦笑いが止まらなくなってしまった。
「母様、これで弟や妹たちはほぼほぼ所帯を持ったわけですが」
「肝心の朔ちゃんが残ってるじゃない」
「ま、まあ俺の話は置いておいて下さい。で、晴れて旅に出られてもいいんじゃないですか?お祖父様やお祖母様のように」
十六夜方の祖母や祖父は隠居してから旅に出ている。
長い間子育てに時間を割いて来た息吹を労って提案すると、黙っていた十六夜が口を挟んできた。
「お前が嫁を迎えるまでは旅など出るものか」
「うーん…それは…申し訳ないですが時間がかかりそうです。父様は隠居されてからもう大分経ちますし、小旅行位…」
「待て、俺をじじい扱いするな」
酒が気管に入ってむせてしまった朔は、息吹に背中を叩いてもらいながらこみ上げる笑いを堪えることができず、十六夜が首を傾げる。
「どうした」
「いえ、雪男も同じようなことを言っていたので」
「…あれもたいがいじじいだからな。そんな奴に嫁がせるなんて正気の沙汰じゃない。あいつは俺の身内に恨みでもあるのか」
「まあまあ十六夜さん落ち着いて。朔ちゃん、朧ちゃんと雪男の件は分かりました。でもまだ父様の心の準備ができてないから時間をもらえる?」
「ええ、そのつもりです。本人も分かっているので待たせます」
「…何故あいつが会いに来ない」
「殺されるからじゃないですか?」
「……」
「この件は俺の預かりにしています。父様、短気を起こさず熟慮願います。俺は可愛い妹を泣かせたくないし、雪男を殺されたくもありません」
「…分かった」
何とか話を聞いてもらえてほっとするとーー
「じゃあ次に“朔ちゃんのお嫁さん問題”について話しましょうか」
…思わぬ流れ弾にじわじわ問い詰められて苦笑いが止まらなくなってしまった。

