自分の部屋に無断で入ってくる存在はひとりしか居ない。
障子が開くなりうつ伏せで寝ていた朔の背中にどすっと馬乗りになられてうめき声が漏れた。
「うっ」
「兄様!雪男をお年寄り扱いしないで下さい」
「んんー…ごめん…」
寝ぼけながら謝る朔から降りた朧は次は隣に潜り込み、普段しっかりしている朔が目を擦って無防備でいる姿に微笑みつつ頰を軽くつねった。
「でもありがとうございます。私…雪男のお嫁さんになれますよね?」
「んー…まあ…俺の説得がうまくいけばね…」
「うまくいかなかったら…私、駆け落ちしますから」
ぱちっと目が開いた朔は、妹を抱き寄せて頭を撫でた。
「そうならないように頑張るから…もうちょっと寝かせて…」
「あの人を早く私のものにしたいんです。他の女に色目を使われないようにしたいんです」
「あー…、あいつは浮気なんかする器用さはないし、大丈夫だよ。俺が保証するから」
「…本当に?」
「うん」
腕枕をしてもらいながら、自分の次はこの飄々とした兄を幸せにしてくれる女が見つかればいいなと思った朧は、朔の長いまつ毛に触れながら宣言した。
「兄様のお嫁さんは私が見つけてあげますからね」
「うん、俺が自分で見つけられなかったら頼むよ」
もう少し寝かせてあげようと床から出て部屋を後にした時、屋敷の屋根に上って横になりつつ日向ぼっこをしていた銀がその姿を目にしてふっと笑った。
「おい息子よ、お前は当て馬にされただけのようだな」
「意味が分かりませんが」
返事をしたのは同じく屋根の上で刀の手入れをしていた焔で、目を合わすことなく黙々と刀をいじっていた。
「朔に認めてもらうには身内になるのが手っ取り早い。うかうかしているとお前の目的は果たせんぞ」
「…」
庭の花に水をやっている朧の表情は明るく、焔は金の目をちらりと朧に向けて押し黙っていた。
障子が開くなりうつ伏せで寝ていた朔の背中にどすっと馬乗りになられてうめき声が漏れた。
「うっ」
「兄様!雪男をお年寄り扱いしないで下さい」
「んんー…ごめん…」
寝ぼけながら謝る朔から降りた朧は次は隣に潜り込み、普段しっかりしている朔が目を擦って無防備でいる姿に微笑みつつ頰を軽くつねった。
「でもありがとうございます。私…雪男のお嫁さんになれますよね?」
「んー…まあ…俺の説得がうまくいけばね…」
「うまくいかなかったら…私、駆け落ちしますから」
ぱちっと目が開いた朔は、妹を抱き寄せて頭を撫でた。
「そうならないように頑張るから…もうちょっと寝かせて…」
「あの人を早く私のものにしたいんです。他の女に色目を使われないようにしたいんです」
「あー…、あいつは浮気なんかする器用さはないし、大丈夫だよ。俺が保証するから」
「…本当に?」
「うん」
腕枕をしてもらいながら、自分の次はこの飄々とした兄を幸せにしてくれる女が見つかればいいなと思った朧は、朔の長いまつ毛に触れながら宣言した。
「兄様のお嫁さんは私が見つけてあげますからね」
「うん、俺が自分で見つけられなかったら頼むよ」
もう少し寝かせてあげようと床から出て部屋を後にした時、屋敷の屋根に上って横になりつつ日向ぼっこをしていた銀がその姿を目にしてふっと笑った。
「おい息子よ、お前は当て馬にされただけのようだな」
「意味が分かりませんが」
返事をしたのは同じく屋根の上で刀の手入れをしていた焔で、目を合わすことなく黙々と刀をいじっていた。
「朔に認めてもらうには身内になるのが手っ取り早い。うかうかしているとお前の目的は果たせんぞ」
「…」
庭の花に水をやっている朧の表情は明るく、焔は金の目をちらりと朧に向けて押し黙っていた。

