率直にまずいことになった、と思った。
いくら何でも互いに同じ気持ちだと分かった日にどうこうするつもりはない。
だが朧は台所に立って夕餉の準備を進めていて、火の近くに行けない雪男は少し遠くに立ってその様子を眺める。
「お前半分妖なんだし食わなくてもいいんじゃないの?」
「母様から人の習慣を忘れないようにって言われてます。兄様が帰ってきた時の分と私のと、お師匠様には冷たいの作りますね」
息吹と十六夜夫婦は三食共にしていた。
もし…朧と夫婦になれることができたらその習慣を大切にしなければと思い、とりあえず風呂のことを言わなければと少し大きな声をかける。
「あのさ、風呂のことなんだけど、さっき入ったし俺はいいからお前は熱いの入れば?」
「え…そうなんですか?ふうん…」
兄妹よく似た“ふうん”にはにかんだ雪男は、居間の食卓に並べられた料理にまたはにかむ。
「あ、あのさ…万が一…万に一つもないんだけど、何かあるといけないから同じ部屋にずっと入るのはやめた方がいいと思うんだ」
「まだ何も解決してないのに何も起きないですよ。何の心配してるんですか」
「いやほら一応嫁入り前なんだしさ…ってお前顔赤くないか?」
朧の顔は赤く、本人は今気付いたかのように身震いをした。
「そういえば寒気がするような…」
前日は雨に打たれ、今日は冷たい泉に浸かるーー風邪を引いてもおかしくないことに失念していた雪男は慌てて立ち上がるととりあえず朔の羽織を頭から被せた。
「俺床を敷いてくるからそれ食ってじっとしてろ。いいな?」
甘い時間を過ごすどころではない。
急ぎ足で朧の部屋に向かい、床の準備をした。
いくら何でも互いに同じ気持ちだと分かった日にどうこうするつもりはない。
だが朧は台所に立って夕餉の準備を進めていて、火の近くに行けない雪男は少し遠くに立ってその様子を眺める。
「お前半分妖なんだし食わなくてもいいんじゃないの?」
「母様から人の習慣を忘れないようにって言われてます。兄様が帰ってきた時の分と私のと、お師匠様には冷たいの作りますね」
息吹と十六夜夫婦は三食共にしていた。
もし…朧と夫婦になれることができたらその習慣を大切にしなければと思い、とりあえず風呂のことを言わなければと少し大きな声をかける。
「あのさ、風呂のことなんだけど、さっき入ったし俺はいいからお前は熱いの入れば?」
「え…そうなんですか?ふうん…」
兄妹よく似た“ふうん”にはにかんだ雪男は、居間の食卓に並べられた料理にまたはにかむ。
「あ、あのさ…万が一…万に一つもないんだけど、何かあるといけないから同じ部屋にずっと入るのはやめた方がいいと思うんだ」
「まだ何も解決してないのに何も起きないですよ。何の心配してるんですか」
「いやほら一応嫁入り前なんだしさ…ってお前顔赤くないか?」
朧の顔は赤く、本人は今気付いたかのように身震いをした。
「そういえば寒気がするような…」
前日は雨に打たれ、今日は冷たい泉に浸かるーー風邪を引いてもおかしくないことに失念していた雪男は慌てて立ち上がるととりあえず朔の羽織を頭から被せた。
「俺床を敷いてくるからそれ食ってじっとしてろ。いいな?」
甘い時間を過ごすどころではない。
急ぎ足で朧の部屋に向かい、床の準備をした。

