なぜか花の水遣りを手伝ってくれる焔に、旅の道中に起きた出来事などを聞いていた。
狭い世界でしか生きたことのない朧にとってそれは素敵な冒険譚であり、とても新鮮な気分になれるので、ついつい夢中になって聞いてしまう。
「目的地を決めようにも私は少し方向音痴なところがあるので、あてもなく旅をするのがちょうどいいのです」
「そうなんですね。いいな…私も旅とかしてみたい」
「よろしければお供いたしますよ。ずっと」
ーー何か言い含んだような物言いだったが深く考えることもなく微笑み合っていると、誰かの大きな声が聞こえて居間の方を見た。
そこには朔と雪男、若葉から解放された銀が額を突き合わせるようにして輪になり、何事か熱心に会話していた。
「朔…お前はやっぱり十六夜の子だなあ。そこまでとは思っていなかったぞ」
「え、普通だろ」
「いやいや主さま…先代も結構女遊び激しかったけどそこまでは…」
「だから普通だって」
…耳にしてはいけないような会話が繰り広げられている予感に朧がむっとすると、焔は視界を遮るようにして立ち、何やら意地悪げな笑みを浮かべた。
「あの人たち…何を話して…」
「どうせよからぬことですよ。それより朧様、髪に葉が…お取りいたします」
少し身体を折って髪についているであろう葉を取ってもらうとーー盛り上がっていた雪男が何故か憮然とした顔をしていた。
「…?」
「朧様、この近くに静かで清らかな泉が湧いている場所があります。涼みがてらいかがですか。お連れいたしますよ」
「わ、行ってみたいです」
「では私は主さまに許可を頂いて参ります」
丁寧で折り目正しい焔の態度は嫌いではない。
雪男も誘ってみようと考えてわくわくして自分からも後で朔にお願いしようと決めて、火照る顔を団扇で扇いだ。
狭い世界でしか生きたことのない朧にとってそれは素敵な冒険譚であり、とても新鮮な気分になれるので、ついつい夢中になって聞いてしまう。
「目的地を決めようにも私は少し方向音痴なところがあるので、あてもなく旅をするのがちょうどいいのです」
「そうなんですね。いいな…私も旅とかしてみたい」
「よろしければお供いたしますよ。ずっと」
ーー何か言い含んだような物言いだったが深く考えることもなく微笑み合っていると、誰かの大きな声が聞こえて居間の方を見た。
そこには朔と雪男、若葉から解放された銀が額を突き合わせるようにして輪になり、何事か熱心に会話していた。
「朔…お前はやっぱり十六夜の子だなあ。そこまでとは思っていなかったぞ」
「え、普通だろ」
「いやいや主さま…先代も結構女遊び激しかったけどそこまでは…」
「だから普通だって」
…耳にしてはいけないような会話が繰り広げられている予感に朧がむっとすると、焔は視界を遮るようにして立ち、何やら意地悪げな笑みを浮かべた。
「あの人たち…何を話して…」
「どうせよからぬことですよ。それより朧様、髪に葉が…お取りいたします」
少し身体を折って髪についているであろう葉を取ってもらうとーー盛り上がっていた雪男が何故か憮然とした顔をしていた。
「…?」
「朧様、この近くに静かで清らかな泉が湧いている場所があります。涼みがてらいかがですか。お連れいたしますよ」
「わ、行ってみたいです」
「では私は主さまに許可を頂いて参ります」
丁寧で折り目正しい焔の態度は嫌いではない。
雪男も誘ってみようと考えてわくわくして自分からも後で朔にお願いしようと決めて、火照る顔を団扇で扇いだ。

