主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

説教のため、銀は若葉に連れ去られ、十六夜が息吹にとぼとぼしながら連れ去られた後、朔は一息ついて足を投げ出して縁側にひとり座っていた。


「面白いものが見れたなあ」


百鬼同士の喧嘩はご法度だがあれは喧嘩じゃないし、多少息吹に絞られはしたが懲りていない朔がまたけしかけてやろうと悪巧みしていると、こちらもとぼとぼとした足取りで近付いてくる朧に手を振ると、小走りになって目の前で正座した。


「兄様…」


「ん?」


「失礼します」


「え…、おっと!」


足の間にずいっと割り込んで来て突然黒に近い紺色の着物の胸元を開かれて声もなく驚いているとーー朧の目は据わっていた。


「…同じように見えるけど何か違う…」


「えーと…どうかした?」


「何でもありません。兄様失礼しました」


突然の凶行に理由を話すこともなく、うーんと唸りながら去って行く朧を胸元を正しながら首を捻っていると、今度は雪男が同じ方向から歩いて来た。


「雪男、ちょっとこっちに来い」


「主さま、今俺ちょっと考え事しててそれどころじゃ…」


「いいから来い」


命令されて渋々朔の前に座るとーー

今度は朔が朧にされたように雪男の胸元を開いてはだけさけた。


「!?ちょ、主さま!?」


「うん、同じだな。お前の方が色は白いが」


「はっ?」


「行っていいぞ」


しっしと追い払われて訝しみながら去る雪男を見送った後、ぼんやりと今後を考える。

焔が現れた以上、やたら心酔されているので朧の婿という立場は必ずものにしたいはずだ。

雪男と朧は両想いに見えるが、焔の出方によっては変わるかもしれない。


「さあ、どう出る?」


雪男は行動派。

焔も行動派。

朧はどちらを選ぶか?