夏に弱い雪男のために風通しの良い部屋に行くと、朧はおもむろに言い放った。
「脱いで下さい」
「は…えっ?!」
「怪我してるのは顔だけじゃないですよね。上だけでいいから見せて」
強い口調に気圧された雪男は、腕を抜いて上半身をさらす。
腕や腹に細かな傷が多数ついている身体を検分した朧は、あまり凝視しないように目を伏せながら上薬や薬草を準備する。
「なんで銀さんと争ったりしたんですか」
「まあ…訳はあったけど決着つかなかったし、終わったことだから」
「仲違いじゃないんですね?良かった…」
すらりと伸びた腕をとって傷口に薬を塗る。
やましい気持ちなど抱いてはいけないのに、筋張った指や血管に目が行き、気が散ってしまう。
息遣いもしっかり聞こえる距離で黙々と治療をする朧と雪男は、しばらくの間黙っていた。
いやな間ではなく、指が震えそうになりながら胸の付近についた傷口に薬を塗ろうとすると、雪男が身体を傾けて低い声で囁いた。
「ところでお前はなんで焔と一緒に居たんだ?」
「気付いたら居たんです。お師匠様こそでれでれしちゃって…」
つい声が荒くなるとーー朧の胸元に垂れた長い髪を雪男がつんと引っ張った。
「何だよやきもちか?なーんてじょう…だん……」
顔を赤くして黙り込み、唇を震わせながらも目を逸らさない朧の表情に、雪男の胸に淡い期待が押し寄せる。
「…図星…だったり?」
「…自分で考えて下さい。馬鹿」
長くてきれいな雪男の人差し指を甘噛みしてさっと立ち上がり、部屋を出て行った朧の背中を見送った雪男は、呆然としながら噛まれた人差し指を見つつ畳に倒れこむ。
「え…?ど…どういうことだ…?」
事態が飲み込めず、畳の上で七転八倒していた。
「脱いで下さい」
「は…えっ?!」
「怪我してるのは顔だけじゃないですよね。上だけでいいから見せて」
強い口調に気圧された雪男は、腕を抜いて上半身をさらす。
腕や腹に細かな傷が多数ついている身体を検分した朧は、あまり凝視しないように目を伏せながら上薬や薬草を準備する。
「なんで銀さんと争ったりしたんですか」
「まあ…訳はあったけど決着つかなかったし、終わったことだから」
「仲違いじゃないんですね?良かった…」
すらりと伸びた腕をとって傷口に薬を塗る。
やましい気持ちなど抱いてはいけないのに、筋張った指や血管に目が行き、気が散ってしまう。
息遣いもしっかり聞こえる距離で黙々と治療をする朧と雪男は、しばらくの間黙っていた。
いやな間ではなく、指が震えそうになりながら胸の付近についた傷口に薬を塗ろうとすると、雪男が身体を傾けて低い声で囁いた。
「ところでお前はなんで焔と一緒に居たんだ?」
「気付いたら居たんです。お師匠様こそでれでれしちゃって…」
つい声が荒くなるとーー朧の胸元に垂れた長い髪を雪男がつんと引っ張った。
「何だよやきもちか?なーんてじょう…だん……」
顔を赤くして黙り込み、唇を震わせながらも目を逸らさない朧の表情に、雪男の胸に淡い期待が押し寄せる。
「…図星…だったり?」
「…自分で考えて下さい。馬鹿」
長くてきれいな雪男の人差し指を甘噛みしてさっと立ち上がり、部屋を出て行った朧の背中を見送った雪男は、呆然としながら噛まれた人差し指を見つつ畳に倒れこむ。
「え…?ど…どういうことだ…?」
事態が飲み込めず、畳の上で七転八倒していた。

