それぞれ別の方向から挙がった声に、男たちは一斉にしまった、という顔をして固まる。
「ぎんちゃん」
「若葉、男の戦いに口を挟むんじゃない」
「朔ちゃん、どうして止めてくれなかったの?」
「いや、ごめん。ぎんが負けたら若葉に膝枕してもらうって言ったら本気出してきてさ」
「で、ぎんちゃんが負けたの?じゃあいいよ」
「お、おいおい負けたわけじゃ…」
銀が焦る中、朔の隣で目を泳がせている十六夜を家の中から黙ってじっと見つめているのは息吹だ。
普段よく喋る息吹のだんまりに、十六夜は腰を浮かせて言い訳。
「…お、俺が仕掛けたんじゃないぞ」
「でも黙って見てたんでしょ?雪ちゃんにしろ銀さんにしろ大怪我したらどうするの?この屋敷を守るのは誰?」
ーーぐうの音も出ず口をあわあわさせていると、誰よりも早く朔が頭を下げた。
「ごめんなさい、俺が仕掛けました」
「いやいや、俺が筆頭の座をかけて雪男に挑んだから俺の責任…」
謝り合戦が始まり、雪月花を消した雪男がひとつ息をつくと、女の妖たちがわっと群がった。
「すごくかっこよかった!」
「あなたの勇姿を見れて光栄ですわ」
群がられて焦っている雪男をぎっと睨みつけたのは朧だ。
裸足のまま庭に降りて雪男に向かってずんずん近付いて行くと、雪男と目が合い、ふわっと笑いかけられて足が止まった。
「朧」
名を呼ばれ、いつもは何も感じないのに背筋がぞわっとしたと同時に高揚感に包まれる。
立ち尽くす朧にふらふらと歩み寄った雪男は、またひとつ息をついて左頬を指差した。
「これ、ごめん、また開いてしまってさ。薬塗ってくれよ」
「は、はい…こっちに来て下さい」
色目を使う女たちに見向きもせず傍に来てくれた雪男は、近くで見ると小さな傷が身体のあちこちにあった。
「朧ちゃん、雪ちゃんの怪我お願いね。銀さんの傷は私と若葉が傷口に塩を塗ってやるんだから」
「はい、母様」
ぷんすかしている息吹がおかしくて笑うと、雪男を見上げる。
首筋がとてもきれいで、生まれてはじめて、噛み付いてやりたい、と思った。
「ぎんちゃん」
「若葉、男の戦いに口を挟むんじゃない」
「朔ちゃん、どうして止めてくれなかったの?」
「いや、ごめん。ぎんが負けたら若葉に膝枕してもらうって言ったら本気出してきてさ」
「で、ぎんちゃんが負けたの?じゃあいいよ」
「お、おいおい負けたわけじゃ…」
銀が焦る中、朔の隣で目を泳がせている十六夜を家の中から黙ってじっと見つめているのは息吹だ。
普段よく喋る息吹のだんまりに、十六夜は腰を浮かせて言い訳。
「…お、俺が仕掛けたんじゃないぞ」
「でも黙って見てたんでしょ?雪ちゃんにしろ銀さんにしろ大怪我したらどうするの?この屋敷を守るのは誰?」
ーーぐうの音も出ず口をあわあわさせていると、誰よりも早く朔が頭を下げた。
「ごめんなさい、俺が仕掛けました」
「いやいや、俺が筆頭の座をかけて雪男に挑んだから俺の責任…」
謝り合戦が始まり、雪月花を消した雪男がひとつ息をつくと、女の妖たちがわっと群がった。
「すごくかっこよかった!」
「あなたの勇姿を見れて光栄ですわ」
群がられて焦っている雪男をぎっと睨みつけたのは朧だ。
裸足のまま庭に降りて雪男に向かってずんずん近付いて行くと、雪男と目が合い、ふわっと笑いかけられて足が止まった。
「朧」
名を呼ばれ、いつもは何も感じないのに背筋がぞわっとしたと同時に高揚感に包まれる。
立ち尽くす朧にふらふらと歩み寄った雪男は、またひとつ息をついて左頬を指差した。
「これ、ごめん、また開いてしまってさ。薬塗ってくれよ」
「は、はい…こっちに来て下さい」
色目を使う女たちに見向きもせず傍に来てくれた雪男は、近くで見ると小さな傷が身体のあちこちにあった。
「朧ちゃん、雪ちゃんの怪我お願いね。銀さんの傷は私と若葉が傷口に塩を塗ってやるんだから」
「はい、母様」
ぷんすかしている息吹がおかしくて笑うと、雪男を見上げる。
首筋がとてもきれいで、生まれてはじめて、噛み付いてやりたい、と思った。

