帰りの道中、これ幸いにと朧は雪男の腰にしっかり腕を巻きつけて抱きついた。
巫女装束が雨に濡れて気持ち悪く、途中何度かくしゃみをすると雪男が心配そうに振り向く。
強い男なのだと強く再認識したのでさらに意識してしまい、まともに顔を見ることができなくて俯く朧と、憧れて止まない先代の太刀筋を見せられた雪男は逆に朧の顔を見たくて仕方がない。
「おい、調子悪そうだけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。…私が風邪引いたらお師匠様のせいですからね」
「まあそれは許してくれよ。もし風邪引いたら看病位してやるよ」
ーーそれは是非逆に風邪を引きたいと思い、またくしゃみをひとつすると、並走していた焔が小さく笑って冗談を言った。
「寒そうですね、私の尻尾をお貸ししましょうか」
「ありがとうございます大丈夫です。でも毛並みが良くてきれい」
「あなたの艶のある黒髪の方が数倍きれいですよ、触りたくなる位…」
「着いたぞ、お前はすぐ風呂に入って来い。床は俺が敷いておいてやるから」
…褥を共にするというわけでもないのに、それだけで胸が高鳴ってしまい、胸に手を押し付けていると、通りすがり様に朔が耳元で囁く。
「誘ってみたらどうだ?」
「!に、兄様、何を言って…っ」
「冗談だよ。お前たちが死んでしまったらすごく困るから慎重にな」
心が通うと冷たくもないし、雪男も溶けて死なないというーー
そんな日は来るのだろうか?
そんな日が来たらきっとーー天にも昇る気持ちになるだろう。
巫女装束が雨に濡れて気持ち悪く、途中何度かくしゃみをすると雪男が心配そうに振り向く。
強い男なのだと強く再認識したのでさらに意識してしまい、まともに顔を見ることができなくて俯く朧と、憧れて止まない先代の太刀筋を見せられた雪男は逆に朧の顔を見たくて仕方がない。
「おい、調子悪そうだけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。…私が風邪引いたらお師匠様のせいですからね」
「まあそれは許してくれよ。もし風邪引いたら看病位してやるよ」
ーーそれは是非逆に風邪を引きたいと思い、またくしゃみをひとつすると、並走していた焔が小さく笑って冗談を言った。
「寒そうですね、私の尻尾をお貸ししましょうか」
「ありがとうございます大丈夫です。でも毛並みが良くてきれい」
「あなたの艶のある黒髪の方が数倍きれいですよ、触りたくなる位…」
「着いたぞ、お前はすぐ風呂に入って来い。床は俺が敷いておいてやるから」
…褥を共にするというわけでもないのに、それだけで胸が高鳴ってしまい、胸に手を押し付けていると、通りすがり様に朔が耳元で囁く。
「誘ってみたらどうだ?」
「!に、兄様、何を言って…っ」
「冗談だよ。お前たちが死んでしまったらすごく困るから慎重にな」
心が通うと冷たくもないし、雪男も溶けて死なないというーー
そんな日は来るのだろうか?
そんな日が来たらきっとーー天にも昇る気持ちになるだろう。

