夕暮れになり、百鬼夜行への出立の時間が近付くとーー銀がごね始めた。
「なぜ息子が良くて俺は行けないんだ。納得がいかん」
「お前は百鬼にも関わらず欠番のような状態だったろうが。しのごの言うな」
「ふん、まあいいさ留守番してやる。十六夜でも呼んで晩酌でもするか」
動きやすい格好に着替えるため居なかった朧が戻ってくると、辺りからざわめきが起きる。
真っ白な巫女装束に長い髪をひとつに束ねた姿は美しく、戸惑う朧の肩にぽんと手を置いた朔がにっこり微笑んだ。
「巫女装束とは驚いた。俺たちを神仏の力で消すつもり?」
「これはお祖父様から頂いたんです。袴の方が動きやすい時もあるからって」
「なるほどお祖父様の案か。よし、じゃあ行こう。焔、雪男」
双方から返事の声があり、雪男が朧の隣に立ち、焔が朔の傍に控える。
百鬼ではない焔の同行に非難の声もあったが、銀の息子であり、そして立ち振る舞いや雰囲気から滲み出る力の強さにたちまちその声は収まった。
「雪男、朧を任せたからな」
「分かってるって」
朧の足下に猫又がさっと現れると、雪男が朧に手を差し出して背中に乗らせ、そして同じように跨ると、猫又が潰れた声を上げた。
「お、お姫さんだけなんじゃ…」
「残念、俺も乗るんです。朧、落とされないように俺にしがみついておけよ」
「は、はい」
なんと言う幸運ーー
双方心でそう叫びつつ、百鬼夜行が始まる。
「なぜ息子が良くて俺は行けないんだ。納得がいかん」
「お前は百鬼にも関わらず欠番のような状態だったろうが。しのごの言うな」
「ふん、まあいいさ留守番してやる。十六夜でも呼んで晩酌でもするか」
動きやすい格好に着替えるため居なかった朧が戻ってくると、辺りからざわめきが起きる。
真っ白な巫女装束に長い髪をひとつに束ねた姿は美しく、戸惑う朧の肩にぽんと手を置いた朔がにっこり微笑んだ。
「巫女装束とは驚いた。俺たちを神仏の力で消すつもり?」
「これはお祖父様から頂いたんです。袴の方が動きやすい時もあるからって」
「なるほどお祖父様の案か。よし、じゃあ行こう。焔、雪男」
双方から返事の声があり、雪男が朧の隣に立ち、焔が朔の傍に控える。
百鬼ではない焔の同行に非難の声もあったが、銀の息子であり、そして立ち振る舞いや雰囲気から滲み出る力の強さにたちまちその声は収まった。
「雪男、朧を任せたからな」
「分かってるって」
朧の足下に猫又がさっと現れると、雪男が朧に手を差し出して背中に乗らせ、そして同じように跨ると、猫又が潰れた声を上げた。
「お、お姫さんだけなんじゃ…」
「残念、俺も乗るんです。朧、落とされないように俺にしがみついておけよ」
「は、はい」
なんと言う幸運ーー
双方心でそう叫びつつ、百鬼夜行が始まる。

