焔は低くよく通る声でぽつぽつと語ってくれた。
幼い頃、朔によく遊んでもらってはその強さに憧れ、いつか百鬼夜行の一員として朔の役に立ちたいと願って武芸に励んできたことーー
「じゃあ今回は兄様と契約を交わしに?」
「・・・そういえば今夜は私も百鬼夜行にお供しても良いと許可を下さいました」
「そうですか、夢が叶いそうで良かったですね」
手拭いで足を拭こうとすると、おもむろに焔が手を差し出してきたので流れで手拭いを渡すと、大きな手だが見かけによらない繊細さで足を包んで丁寧に拭いてくれた。
基本何でも自分でできるようにという教育方針で育てられた朧は少しどぎまぎして焔を上目遣いに見つめる。
「ああ、私には妹が居りましたのでつい失礼を」
「いえ、ありがとうございます」
「か細い足だ。よくこんな足で立って居られるのかと思う位に」
焔の長い指がつつっと親指を伝い、その感触に驚いて首を竦めると、焔はすぐ手を離して立ち上がり、頭を下げた。
「申し訳ありません。つい・・・」
「いえ・・・」
「ああ、そういえば今夜はあなたも百鬼夜行にお連れすると聞きました。どうか御身の警護は私にお任せ下さい」
「え、そうなんですか?兄様に聞いてきます」
丁寧に頭を下げた焔に背を向けた朧は、何だかふわふわしたものに包まれたような気分になって朔の部屋へ向かう。
焔という男ーー丁寧で強く、通常の女の妖ならば、本能的に惹かれて強い子を残そうと言い寄る者が多く出るだろう。
彼が百鬼夜行に加われば、その身はいつも朔の傍に在る。
話してみると面白いし優しいーー
焔が百鬼になればいいな、と素直に思った朧の足取りは軽やかで、本人はそれに全く気づいていなかった。
幼い頃、朔によく遊んでもらってはその強さに憧れ、いつか百鬼夜行の一員として朔の役に立ちたいと願って武芸に励んできたことーー
「じゃあ今回は兄様と契約を交わしに?」
「・・・そういえば今夜は私も百鬼夜行にお供しても良いと許可を下さいました」
「そうですか、夢が叶いそうで良かったですね」
手拭いで足を拭こうとすると、おもむろに焔が手を差し出してきたので流れで手拭いを渡すと、大きな手だが見かけによらない繊細さで足を包んで丁寧に拭いてくれた。
基本何でも自分でできるようにという教育方針で育てられた朧は少しどぎまぎして焔を上目遣いに見つめる。
「ああ、私には妹が居りましたのでつい失礼を」
「いえ、ありがとうございます」
「か細い足だ。よくこんな足で立って居られるのかと思う位に」
焔の長い指がつつっと親指を伝い、その感触に驚いて首を竦めると、焔はすぐ手を離して立ち上がり、頭を下げた。
「申し訳ありません。つい・・・」
「いえ・・・」
「ああ、そういえば今夜はあなたも百鬼夜行にお連れすると聞きました。どうか御身の警護は私にお任せ下さい」
「え、そうなんですか?兄様に聞いてきます」
丁寧に頭を下げた焔に背を向けた朧は、何だかふわふわしたものに包まれたような気分になって朔の部屋へ向かう。
焔という男ーー丁寧で強く、通常の女の妖ならば、本能的に惹かれて強い子を残そうと言い寄る者が多く出るだろう。
彼が百鬼夜行に加われば、その身はいつも朔の傍に在る。
話してみると面白いし優しいーー
焔が百鬼になればいいな、と素直に思った朧の足取りは軽やかで、本人はそれに全く気づいていなかった。

